『ブラック・キャットIVチェックメイト』 (新井素子) 感想
前作から9年空いての完結。心臓に負担をかけられないため走ることができない怪盗キャット、そのパートナーで虫も殺せぬ殺し屋の黒木、そしてたまたまキャットの目にとまりトリオを結成することになった不器用なすり千秋。三重苦を背負った”ブラック・キャット”だが……。完結編ということで、長らく伏線がひかれていたキャットの本当の目的をテーマに事件は展開します。帯に<伝説のピカレスク・ロマン>ってあるけど、ピカレスク……なんだろうか(笑)。あいかわらずの素子節炸裂。無理があるよなあ、などと思ってしまうところもあったりはするのですが、読んでいて楽しい。やっぱり本を読むのは楽しくなくっちゃなあ、と納得してしまう。最近の重めな新井作品もいいのですが、やっぱり原点はこっちだよな。このシリーズも第13あかねマンションの世界につながっているわけで、これが出たからにはやっぱり続きが気になるというもの。何年か前に短編を見かけたけれど、あれ以降どうなったんだろうなあ。早く本にまとまるといいです。
それにしても、せっかく最新刊が出たのだから、シリーズ全巻並べて、ついでに『星へ行く船』シリーズも並べてフェアなどやってくれればよいのに、と思ってしまうのだが。最近の中高生は新井素子読むのでしょうかね?読まないんんだとすると、それはそれで惜しいと思う。
さすがにこの年齢になって、あんなかわいい表紙の、しかもコバルト文庫を買うのにはとてもとても勇気がいるわけだけれど(笑)、長らく待っていたものなので迷わずに購入しました。いや、店員さんに怪訝な顔はされましたが(笑)。(2003/12)
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