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2005/07/10

『宇宙戦争』(スピルバーグ)

スピルバーグ監督の映画『宇宙戦争』を家族で観てきました。子供たちにはちょっと話が難しかったかもしれない。
物語の展開はほぼ原作に近い。連れて逃げるのが妻ではなく息子と娘であるという点と三本足の侵略機械-トライポッド-が地中に埋まっているという点がまあ大きな差異ではある。前者はともかく、後者に関してはなんだって地中に長い間埋めてたんだというのはまあ疑問ではある。何万年も前から、というのは主人公のレイの想像にすぎなくて真実は不明なんだけど、宇宙人の考えることなんて理解できないという表現のひとつなのかもしれませんね。『サンダーマスク』という気の長いヒーローの例もあることだし、まあいいか。
さて、この映画の特徴はといえば、<アメリカの力は正義だぜ>的なものではないという点に尽きるのではないだろうか?端的にいうのならばヒーローの不在である。侵略者に対して政府がどう対処しているとか、そういう情報は一切ない。最後の最後まで出てこない。妻とはすでに離婚し、<子供たちに月一度は会う権利>らしきものを行使しているひとりの港湾労働者。ティーンエージャーの息子は父の生き方に賛同なんてするはずもなく、娘は近寄ることもいやがる様子。そういう、まあ平均以下の男の体験をただただ描いている。侵略者にかなうわけなんてなく、逃げ惑うばかりである。実際、レイがしたことは数少ない。その数少ない行為でさえ、正義感からではなく、娘を守るというやむにやまれぬ事情からでしかないのである。このてのアメリカ映画ではかつてなかった消極さではないだろうか?だいたい、あの一連の行動は卑怯者に近い。いや、自分ならどうするかと問われれば、やはり同じようにするだろうと答えるしかないのだが。
侵略者によって様相さえ変えていく世界。人間たちの武器は通じない。そして、唐突ながら、原作通りのオチである。きっと、ずいぶん昔からトライポッドを地中に埋めたりして準備していたのだろう侵略者たちが、意外に調査不足だったと笑うだろうか?今となってはあのオチは陳腐だろうか?ぼくはそうは思わない。ここにこそ、この映画の最大の皮肉があるのだと思う。要するに、人間にはどうしようもなかった、あるいはアメリカにはどうしようもなかった、ということのほうに重点があるのだろうと思うのだ。
人間の知恵が及ばないことがある。奇妙な侵略者に対してもそうであるし、また自分自身の人生に対してでさえそうである。それでも、じたばたするのが人間だ、せいいっぱいやるしかないじゃないか、とそういうことを言っているのだろう。娘を元妻に送り届けたレイに何か達成感があったようには思えない。やるべきことはとにかくやったという疲労感が残っただけかもしれない。娘と息子はこの体験を通してちょっと父親を見直したかもしれないけれど、きっと彼のことだから次に会った時にはいらないことを言ったりして、ふたたび子供たちに呆れられたりするのだろう。それが日常ってものだ。

それにしても、他の地域の情報として、大阪が取り上げられていたけれど、なぜに東京ではなく大阪なのだろう?いっそ熊本にしておいてくれれば「清太郎出初式」だったのに(笑)。あと、せっかくここまで原作に忠実だったのだから、侵略者はもっとタコ型にしてほしかったです。

B000FBHTO4宇宙戦争
H.G.ウェルズ スティーブン・スピルバーグ トム・クルーズ
パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン 2006-07-07

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