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『蒲公英草紙 常野物語』(恩田陸)

4087747700蒲公英草紙―常野物語
恩田 陸
集英社 2005-06

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【感想】
『光の帝国』が連作短編だったのに対しこちらは長編になっていて、時代設定も前作よりもかなり以前を指しています。そして、前作が「常野」たちとその能力を正面から扱ったものが多かったのに対し、今回は彼らを周囲から見ているような、そんなお話です。主人公の少女峰子は、彼らとすごした日々を回想している。その回想の支えとなっているのがすなわち少女の頃の日記-蒲公英草紙-であるというわけです。
すでに過ぎ去った日々を描いているためなのか、それとも物語られている時点の設定のためなのか、その語り口調は何となく物悲しいものがある、と感じました。幸福であったあの時代に帰りたいと主人公は思っているのでしょうか?「この国は明日も続いていくのでしょうか」という問いかけが最後に重くのしかかってきます。その時から、今60年が過ぎようとしているのに、相変わらずぼくたちは峰子と同じ問いを自分に投げかけ続けなければならないのでしょうか。『光の帝国』の末尾はこんな台詞でとじられていました。「ずいぶん遠回りしちゃったね」と。果てしのない遠回りをしながらも、それでも前に進んでいるのだと信じたいものですね。

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