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『ユージニア』 (恩田 陸) 感想

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恩田 陸
角川書店 2005-02-03

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【感想】
「ユージニア、私のユージニア。私はずっとあなたと巡りあうために、ずっと一人で旅を続けてきた」冒頭に掲げられた、この詩のようなもの。後半は無気味な破綻したような印象を与える奇妙さです。
題名からして、耽美ものなのかと思っていたのですが、そうではありませんでした。ストーリーだてとしては、どちらかといえば『Q&A』に近い感じだと思いました。ミステリとしてどうかという話は当然どこかでは出ているのでしょうが、ぼくとしては十二分に楽しめました。
ある夏の日に起こった十七人の毒殺事件。動機は不可解ながらも、犯人は一応逮捕される。しかし……。この<しかし>の部分についての物語なわけですが、怖い。怖いというのは、人間の心理の奥底をえぐるようなエピソードばかりが累積されているからです。けっきょく、人間には他人のことなど判らないのだな、ということを背中を流れていく冷や汗とともに実感することができます。誰か他人をほんとうに理解しようとしたならば、登場人物の「忘れられた祝祭」の作者のようになってしまうのかもしれません。それほどまでにしないと誰かを理解することはできないということにこそ、恐怖をおぼえます。ある意味、<犯人>の動機や<実行犯>の行動原理は、得心がいくような気がぼくにはするのです。でも、「忘れられた祝祭」の作者の行動原理を理解することがぼくにはできません。どうして、そのように誰かのことを理解しなければという欲求にかられるのかが理解できない。理解できないから怖い。
ふと、カバーを外してみれば、夜の町の写真です。中央には暗いコンクリートの階段。両側に破れたような塀が続くのが印象的です。人の心を知るというのは、このような暗い階段を下りていきながら、塀の破れ目から誰かが差し入れる歪んだ情報を受け取っているようなものなのでしょうか?

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