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2008/09/23

『チグリスとユーフラテス』 (新井素子) 感想

新井素子の最新作、しかも待望のSFである。「広義にはミステリ」という表現をじつにあちこちの読書系サイトで見かけたけれどそれは作者に対して失礼ってもんじゃありませんかね?すばらしい、しかもハード(ミステリでいうところの本格)なSFですよ。
遠い未来、惑星間殖民計画によって開発された9番目の殖民星ナインは出生率の壊滅的な事態に直面している。「最後の子供」として取り残された老女ルナは治療不可能な病気などによってコールドスリープについていた人々を起こすことにするが……。
物語はルナによって起こされた四人の女性の手記からなる。まずはルナの母親とも面識のあったマリア・D、そして最後には移民計画のキャプテンであったリュウイチの妻レイディ・アカリ。それぞれナインの歴史の要所要所を代表するような女性たちの意見を述べるという感じ。同時にたぶん女性がもっているであろういろいろな意見を集約するとこうなるのかな?などと男性であるぼくは感じる。とりわけマリア・Dの章は読んでいて息苦しいようなところもあるほどなのだけれど……。
この物語のテーマって人間が生きていくって何なんだろう?ってことですよね。あなたの人生に意味はありますか?この問いはすごくハードだぞ。四人の女性がそれに対してしている回答もまたハード。そしてその問いかけを象徴しているのだろう物語の題名が「チグリスとユーフラテス」、人類文明の起源を表す河の名を蛍につけてしまうのがとてもよい。まちがいなくSF、まちがいなく面白い。
なんだか安心したような気がする。衰退したとかいわれているようだけど、SFにはこの作品のようにまだまだとどけなければならないメッセージがあるじゃないですか。(1999/02/28)

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