『剣客商売5 白い鬼』(池波正太郎) 感想
「雨避け小兵衛」の出だしに思わずにやりとする。飄々とした小兵衛だが、家庭人としては四十も年下のおはるにいいようにあしらわれている、そういうのもまたいいなあという書き方なのである。これに続いて起きる事件のやりきれなさとはじつにうまい対比である。同じような道を歩いてはいても、人というやつの運命はどこでどのようになるやもしれない。この編の末尾で小兵衛が噛みしめる思いは……。それにしても、おはるはけっきょくのところ小兵衛を「先生」と呼んでいるのだね。
続く「三冬の縁談」、めずらしく大治郎の右往左往さる様が面白い。このような筋で解決しなかったとしたら、大治郎がどのように行動しただろうかと意地悪く考えてしまうのだが、どうだろう?三冬にふさわしい男が縁談の相手であれば黙って身を引いたんだろうか?まあ、それでは物語にならないけれど……。(1999/08/15)
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