『魔剣天翔 Cockpit on Knife Edge』 (森博嗣) 感想
Vシリーズ第5弾。シリーズ全体の意図はあいかわらずぼくにはさっぱり判らない。人間関係は進展もせず後退もせず。
航空ショー演技中のコクピットないでの殺人という本作の引用に、テグジュペリの『人間の大地』が引いてあってなるほどとも思うし、ひねているなあとも思う……。いずれにせよストレートとはいえないであろう。プロローグで保呂草が行う形の美しさについての定義にも心魅かれる。美しさが何かの理由になるのだとはついぞ考えたことがなかった。読了後にも、なお、美しさとはある種の結論にすぎないという思いはそのままである。このシリーズなかなかに感情移入できないままにいたのだが、やっとなれてきたのだと思う。読者であるぼくが?それとも作者が?シンプルにそしてストレートに練無の感情が表現されているところもよいと思った。(2000.10.15)
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