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2008/11/30

『宇宙生物ゾーン 異形コレクション』 (井上雅彦編) 感想

異形コレクション第15巻。このテーマだとホラーとSFの境界線上の作品が増えるという意味でも楽しみなところ。
ハードSFの谷甲州が「緑の星」で初登場、やはりこうしたテーマだとSF作家の腕が冴えますね。これを読んでいてナスカの地上絵ってほんとうのところ何なんだろうなと改めて考え込んでしまいました。
森岡浩之の「パートナー」、なるほど人間の人間としての営みがいかに限定された環境下でしか効力のないものかということを思い知りますね。ある環境への人工的介入ということを、他の例にあてはめてみるならば、この物語での人類の辿る行末は……。
岡本賢一の「言の実」、コミニュケーションの手段をテーマにしたSFは多々あれど、これの類例ってのはちょっと思い浮かびません。秀逸。
山田正紀の「一匹の奇妙な獣」、これを読む限りSF作家山田正紀は健在ですね。予告されている長編SFも期待できそうです。最近ミステリ作品が多いようですが、年来のファンとしてはやはり重厚なSF作品を切望いたします。
石田一の「破滅の惑星」、いいですねえ。古き良きSFテイスト。編者も書いているように『トワイライト・ゾーン』や『アウターリミッツ』を彷彿とさせます。
ひかわ玲子の「話してはいけない」、これまたじつにSFっぽいリドルストーリーですね。こういうのを読むとやはりミステリとSFの大きな差のひとつは、謎が解かれるかどうか、だと思います。
五代ゆうの「バルンガの日」、題名がすべてを語っております。よもやバルンガが何なのかをご存知ないこのページの読者も少ないでしょう……。彼の名作の放映は昭和41年ですので、リアルタイムでは翌朝太陽を眺める恩恵に浴せなかったのですが……。
笹山量子の「占い天使」、いるいる、昔からいるんだよなあ、こういう自分勝手な宇宙生物って(笑)。でもって昔から対決代表はこの手の人間だわな。なんでだろう?まあ、そんなもんなんです宇宙の平和なんて。秀逸。
横田順彌の「来訪者」、安定した物語の質感を誇る押川春浪回想録シリーズ。宇宙人なんてのはたいていとんでもない姿をしているもんですが、やっぱりこういう一見真っ当なのが、ぼくとしてはいちばん怖い。五千年……そんなに人類ってもつのでしょうか??
菊地秀行の「安住氏への手紙」、あなたの怖いものはなんでしょう。宇宙人ですか?怪物ですか?それとも陳腐な言いぐさだけどやっぱり人間が怖い?いちばん怖いのは、それは……。秀逸、この巻中でいちおしです。(2000.03.20)

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