『崩れる 結婚にまつわる八つの風景』 (貫井徳郎) 感想
貫井氏の短編集とはめずらしいと思って本の最後を見たら自註解説というのがあった。なるほど、初めての短編集ということらしい。人生のある側面を切り取ってみせる著者のたしかな視点にはいつも関心するところなので、短編というスタイルでそれをどのようにさばいているのか興味を持って読んだ。
「崩れる」時に狂気のきっかけはほんのささいなこと。日常のささいな歪みの積み重ねが狂気を生む。しかし、それは、別の世界への扉になっているかもしれないではないか?
「追われる」この話に出てくる男をストーカーのようなものにしてしまったのは何だろう?中途半端なやさしさなどというものは本来は必要ないものだ。しかし、ビジネスライクに徹し切れない職業というのはあるものなのかもしれない。
「誘われる」公園デビューというのも、ぼくにはよくわからない社会現象のひとつだ。ある種の閉じた人間関係を人がときに切望するのはたしかだが……。ほんとうに、何かに属さねば生きていけぬものだろうか?少なくても無理に属そうとする必要はないように思うのだが……。(2000.09.03)
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