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2008/11/30

『凍える牙』 (乃南アサ) 感想

「バツイチ刑事の孤独な闘い」って帯にあるんだけどね。まあ、たしかに主人公の音道貴子は警視庁機動捜査隊っていう男の職場?のなかで孤立しているように見えますね。そこが読者の共感を呼ぶってのは、それだけこの世に男の職場、いや正確にいうならば女性を締め出している職場が多いってことかねえ。難儀なことです。しかし、お互いにわかりあうことを拒否するという態度はどうかと思うんだが……。
だから、この物語のなかで誰にいちばん共感できたかといえば、それは疾風なんだな。このようにこそ生きてみたいですね。信じるもののためにこそ生き、信じるもののためにこそ死ぬ。それが美しいかどうかはべつにして、やはり潔いと思うよ。人間の多くは最早そのようには生きられないし、死ぬこともできないのだから。(2000.02.13)

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