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2008/11/30

『尾張春風伝』 (清水義範) 感想

徳川吉宗に逆らった男、徳川宗春。なかなかに面白い。軽妙にして洒脱、野暮はいっさい抜きというところが痛快である。
吉宗というのはどのような時代劇に出てきてもたいていはよい役どころである。徳川中興の祖ということで、悪くは書かれない。例外としてすぐに思い出せるのは、『乾いて候』くらいか……。まあ、それはさておき、武と質素倹約を基礎にした政策に対する反発は当然あったのだろうが、享保の改革はあからさまに失敗とはされていない。それを吉宗-宗春という同時代の政治家の手法を対比させることで否定してみせるところなどとても興味深かった。なにしろ、吉宗と同じような経緯でこちらは尾張藩主の座についた宗春であるが、やることなすこと奇抜である。本人はよくてもこれでは家来はたまったものではないだろう。しかし、このたまったものではないところが民衆には受ける。まるで吉宗とは水と油である。このふたりが協力しあっていたら、さぞや面白かろうにと思うのだが、そのようなことの通る時代でもあるまい。
作者が清水義範だから、『金鯱の夢』のようなパロディ日本史で、名古屋びいきに書いてあるのであろうから、そこのところは差し引こうと考えていたのだが(笑)そんなことをする必要もない本格的な時代ものに仕上がっていて、おおいに楽しめる。(2000.09.03)

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