『影の肖像』 (北川歩実) 感想
先端科学技術をモチーフにしためくるめくトリックはいつもながら見事。しかしながら、今回なんというかどんでん返しに次ぐどんでん返しで最後のあたり少々読み疲れてしまったのも事実です。あそこまでやらねばならないもんなんだろうか?今回扱われているクローン技術というやつ、昔からSFではおなじみなんだけれど、現実の問題としてこれが行なわれるとすると、なるほどそういう弊害があるのかという妙な感心の仕方をしてしまった。SFでやるともっとエキセントリックな内容になってしまうものな。この作品で扱われているのは、なんというかもっと地味で、だからこそ怖い。読んでいる最中ぼくの頭の中にあったのは、じつはヴォクトの『スラン』にあったのだと思うこんな台詞「倫理とはけっきょくのところ訓練の問題なのだ」っていうやつなのだけれど……。さて、人類はいったいどこに向かっているのでしょうね?(2000.05.06)
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