『QED ベイカー街の問題』 (高田崇史) 感想
ベイカー街221Bといえばかの探偵シャーロック・ホームズの居所として世界でもっとも有名な住所のひとつでしょうね。ここにはホームズの実在を信じた人々から手紙が舞い込むため、専用の郵便係りがいるのだとか聞いたことがありますが、この物語の登場人物たちはもっと上を行くいわゆるシャーロキアンです。ホームズ物語を正典とし、真摯にその研究に情熱を傾ける人々……。
この物語では、そうしたシャーロキアンが次々に殺されるわけですが、そこここに心憎い仕掛けがほどこされていて思わずにんまりしてしまいます。ホームズに隠された謎というところではどう感じられましたか?そんなわけないだろう、と思ったのならそれはもはや作者の術中にはまっているのですよ。できうれば、正典をどうぞかたわらに楽しまれんことを。もちろん、さほど詳しくなくてもじゅうぶんに楽しめる内容にはなっているのですがね。とりあえず「最後の事件」は押さえておいたほうがよいと思いますよ。
そういえば、ちくま文庫版の『詳註版シャーロック・ホームズ全集』は2巻までしか買っていませんでした……。今回はハヤカワ版の『回想』を手元において読みました。(2000.01.24)
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