『押入れのちよ』 (荻原浩) 感想
・「お母さまのロシアのスープ」 ホラーにしてもほんわかしたものが多いのだろうという勝手な予測をいい意味でのっけから見事に裏切ってくれた。ほんとうに怖いのはやっぱり人間なんでしょうか?
・「コール」美雪と雄二とぼく。みんないいやつらだ。いいやつらだから哀しいな。でこぴん。
・「押入れのちよ」 表題作。会社を辞めて引っ越した築35年のアパートの押入れには明治39年生まれ14歳、花柄の赤い振袖を着た幽霊が……。なんだかね。ちよの行動を見ていると、ほんとうにみんなテダ・アパアパってことでいいんじゃないか、とか思ってしまう。いろいろあるけど、まあ、テダ・アパアパってことでさ。
・「老猫」 昔から猫は化けるものだと決まっているらしい。すべてが混沌としたままに進行する物語は、これぞ恐怖と言えるものである。
・「殺意のレシピ」 その回りくどさが、ストレートな殺意よりもむしろ怖ろしい。
・「介護の鬼」 読み終えてげっそりした気持ちになる。こういう鬼、そのうち世間にありふれるようになりはしないか?
・「予期せぬ訪問者」 ドタバタもの。上記で落ち込んだところにもってくるのがいい。
・「木下闇」 これは救いがない話だな。十五年後の「もういいよ」は悲しすぎる。
・「しんちゃんの自転車」 これがいちばん好きですね。 三年生になっても自転車に乗れない私と教えてくれるしんちゃん。「俺が教えたなんて誰にも言うなよ」「がってんしょうたくん」 私は大人になっても、その約束を守っているのですね。(2008/12)


最近のコメント