『ストレンジ・ランデブー』 (平井和正) 感想
おどろいた。いまさら平井氏の短編が読めるなどとはゆめにも思っていなかった。しかもSFではない。どうやら習作をもとにしたものらしいのだが、作者の言によると<青春前期の恋心と初心を取り戻したからこそ書けた>とのこと。なるほどと思う。表題作の主人公のひどく稚拙ないちずさや少女のぎこちなく屈折した愛情表現、それは記憶の奥底にある何かを刺激されるような苦々しい甘さだ。「鏡の中の少女」は一読これはウルフガイの先駆作品だと感じることができるだろう。あの人物この人物すべて思い出の中の見知った顔にほど近い。そして「待っている」、題名がこれということはチャンドラーを意識してのことだろうか?じつは不勉強なことながらチャンドラーの「待っている」は未読なので何がどう影響しているのかはわかりかねる。しかし、ひどくせつなく、甘く、そしてつらい作品だと思う。ほんの50ページに流れる時間の重さははかりしることができない(2001.11.24)
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