『ひとがた流し』 (北村 薫) 感想
生きているといろいろあるよね、と思う。大きな仕事を任せられることになったり、その途端に、その仕事ができない理由ができたり。そういうことが自分の身にふりかかることだってあれば、友人知人に起こることだってある。出会いがあって別れがあるから人生だなんて、いつまで経っても悟れそうにもないな。
あの『月の砂漠をさばさばと』のさきちゃんが、大学受験をしようかというような年齢になっている。そのお母さんの牧子は、だからそれなりの年齢。そして、学生時代からの牧子の友人である千波、美々もそう。そういう年まで生きてくれば、それなりにいろいろあるわけで、ふと自分を振りかえってもみる。自分の子供たちが、自分が友人たちと過ごした季節を今生きているのだな、というのは感慨深いものがあるよね。大人であるがゆえの苦しみや生々しさもすべて飲み込んで、でも、それでも生きていくのって案外に悪くはないよと伝えたい。この物語に登場する大人たちはそうしている。そんなのファンタジーかもしれないけれど、ファンタジーな大人になりたいものです。
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