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2009/09/05

『英雄の書』 (宮部みゆき) 感想

読み始めた時にはファンタジーだとは思ってなかった。それも、ダークファンタジーというよりは、あとがきにも述べられているようにクトルフ神話なのね。暗くなるのも道理だな。クラスメートを刺して行方不明となった中学生の兄・大樹は、”英雄”「エルムの書」に魅入られていた。五年生の友里子は書物たちに誘われて「印を戴く者(オルキャスト)」として現実世界を離れて「無名の地」を訪れ、兄を探す旅に出るが……。
読むのがかなり辛い物語である。この系統の話を読みなれた者であれば、行き着く先がなんとなく想像できてしまうから。主人公が少女であることだし、作者が宮部さんであるし、ことによったら違う結末もあり得るのかと思っていたのですが、妙にそのあたりスタンダードなのですね。どのような理由であろうと罪は罪。では、その贖いの最たるものは何かといえば、それは……。惜しむらくは、大樹自身の言葉が、この話の中ではほとんど聞こえないことです。正義感の強いこの少年の偽りなき気持ちを、その口から語らせて欲しかったなあ、と思います。
この経験、辛い経験は、幼い者に事実の表裏ということを考えさせるためとはいえ、苛酷なものでした。友里子にふたたび旅の機会が訪れるのであれば、それは年長者として、新たなオルキャストを助ける者としてのことになるのでしょう。あなたは、「あなたが思っているより、ずっと強い」。しかし、その強さを正しき力に変えることの、なんと困難なことでしょうか。

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