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2010年11月の33件の投稿

2010/11/23

kwaidan 第12夜・ぎんがみ

暑い夏の日の午後だった。
ホームで下りの新幹線を待っていた私は、奇妙な男が歩いているのを目にした。
真夏日なのに黒い長袖のジャージの上下。その上半身の前後につけたゼッケンのようなものが、真夏の太陽を反射して銀色に鈍く光っている。何やら「ピ……ピ……ピ……ピ」と規則的な電子音も聞こえてくる。男はゆるりとした足取りでやってきて、私からほんの数歩離れた場所で立ち止まった。乗車位置でもないそんなところでどうするつもりなのか、わけがわからない。
目を合わせないよう気をつけて男を観察してみると、サンドイッチマンのように肩から紐で前後に銀紙を貼ったダンボールのようなものをぶら下げており、その表面の見るからにでたらめな位置に、子供が電気工作に使うような黄色いビニール線が何本もセロハンテープでとめてある。それらの線はすべて腰のあたりの黒いダイヤルにつながっているようだ。
あきれて見ていると、そばを一人のスーツ姿の女性が携帯電話で話しながら通り過ぎた。と、聞こえていた電子音が「ピピピピピピ」と速くなる。男が慌てたように腰のダイヤルを何度も回すと、電子音の間隔はもとにもどった。男は通り過ぎた女性を睨んでいる。
なるほど、あれで電話の電波を防いでいるつもりなのだな、と妙に納得したような気がした。

新幹線がホームに入ってきた。男が乗り込んだのは、私のひとつ隣の指定席車両だ。しかし、席にはつかずにデッキに立ったままでいる様子だ。乗り込んだ時に車掌とすれ違うのが見えたが、特に注意されることもない。車掌にとってはいつものことなのか、という疑問がふと頭に浮かんだ。1時間ほど後、私は目的地で降りたが、男はまだそこに立っているままだった。

あれは、もう何年も前のことだ。あの銀紙、あれはいったい何だったのだろう?どうやったら、ただビニール線をセロハンテープでとめただけなのに、電波が防げるのだ?あの銀紙には秘密があるはずだ。それともダイヤルの方か?あの銀紙の秘密が知りたい。そして、今、どこか遠くから頭の中に囁きかけてくる、このいまいましい電波を遮断する方法を、私自身のものとするのだ。

2010/11/22

夢にも人を見つる夜は・引っ越し

「はかなくて 夢にも人を見つる夜は あしたの床ぞ 起きうかりける」(素性法師/古今和歌集 575)

別の場所に掲載していた「夢にも人を見つる夜は」ですが、閉鎖になるようなので、こちらに統合することにしました。

夢にも人を見つる夜は 第二十五夜・道

こんな夢を見ました。

商店街を少し入った裏道を、駅のほうへと、あなたが歩いているのです。
あなたは、ふたりでよく会っていた頃の、見覚えのあるスーツを着ています。あのスーツのブランドは、なんといったでしょう?もう、何年も前のことです。忘れてしまいました。

細い道をたどり、駅の改札に辿りつくまでの短い距離の間、あなたから少し遅れて歩いてゆきます。声をかければ、あなたはあの頃のように微笑んでくれるでしょうか?

これは夢なのだからと、頭の奥で鈍く熱い何かが語りかけてくる気がします。夢だから声をかけるのか、それとも夢だからこそ声をかけないのか。

駅までの短い距離は、歩いても歩いても縮まらないのです。

夢にも人を見つる夜は 第二十四夜・ポイント

こんな夢を見ました。

手にしたICカードを、レジの読み取り機にかざします。
涼しい感じの電子音が響き、レジの液晶ディスプレイに表示が出るのです。

「利用したポイントは、3,420です。あなたが生涯に利用できるポイントは、あと74,160です」

生涯に?それはどういう意味でしょう。それに、ポイントがなくなってしまったら、どうすればよいのでしょうか?

夢にも人を見つる夜は 第二十三夜・春の雪

こんな夢を見ました。

アスファルトの道に雪が舞い落ち、そして積もることもなく消えていきます。それなのに、なぜか、陽射しそのものはあたたかいのです。春の、名残の雪なのでしょう。
見上げると、空は青いというよりも、薄い水色のようです。その水色の中を、ふわふわとした感じの牡丹雪が、ゆっくりと揺れるように舞い降りてくるのです。陽の光が、ときどき雪に反射して、どこかきらびやかな感じがします。

道の向こうから、セーラー服の女の子と学生服の男の子が歩いてきます。彼らが着ているのは、かつて通っていた中学の制服なのだと気づきます。何か楽しそうに語り合いながら、傍らを通りすぎていくふたりは、想い出の中にある情景そのものです。こんなふうに、春の雪の中をあの人と歩いたのは、いつのことだったでしょう?

振り返ると、通り過ぎた彼らはもういませんでした。あとにはただ、積もることもなく名残の雪が降りつづくばかりです。

夢にも人を見つる夜は 第二十二夜・エスカ

こんな夢を見ました。

あとしばらくすればエスカの街だというところで、ジープの調子が悪くなるのです。
「歩くしかないのかな?」助手席にいた女性が、心配そうにこちらを見ています。その顔は少し疲れたように見えます。
後部に置いていた荷物を抱えると、熱い砂を踏みしめるようにして立ちあがります。「歩くにしても、もう少し陽が落ちるのを待ったほうがいい。それに、車を直せるかもしれないし」荷物の中から、工具を取り出すと、ボンネットを開きます。

夕方に近く、一時の照りつけるような暑さは遠のいていますが、彼女を歩かせるのはまだ無理だと思います。それに、エスカの街に着いたところでどうなるというのでしょう?

女性に呼びかけようとして、別の名前を呼んでしまいそうになります。それは、夢の外での彼女の名前なのです。
「どうしてこんなことになったのかしら?」聞こえなかったふりをして、彼女は水筒をこちらに差し出します。

汗が頬を伝わっていくのを感じながら、その水筒にはもう水も残っていないということを思い出していました。

夢にも人を見つる夜は 第二十一夜・八重洲地下街

こんな夢を見ました。

八重洲地下街をあてもなく歩いています。
そういえば、友人のWと食事をした中華料理店はどこだったでしょう?その店を見つけようとして、案内板に見入るのですが、字がぼやけて読むことができません。Wとは、もう長く会っていません。

夢にも人を見つる夜は 第二十夜・卵

こんな夢を見ました。

出張のようです。電車の向かいの席には、HさんとMさんがすわっています。ふたりは、ベージュのコートに大きなスーツケースを持って、煙草をくゆらせているのです。
「それじゃあ、俺たちは行くからね」とMさんたちは立ち上がります。窓外右手には、飛行場が見えます。「飛行機にすればいいのに」と笑いながら、手を振っています。

広島の少し手前の駅でなんとなく電車を降りて、駅前の商店街を抜けると、目の前に昭和初期のような風景が広がっています。木造モルタルの平屋が続き、なぜかあちこちに鶏小屋があるのです。錆びかけたケージの中から、鶏たちがこちらをじっと見つめています。

茶色いセーターの三~四年生くらいの男の子が、手に卵のたくさん入った藤籠を持っています。その子は、卵を次々に空に投げ上げるのですが、ひとつも下には落ちてきません。すべて空に吸い込まれるように消えてしまうのです。

卵の消えていく空を見上げると、その青さが目にしみるようです。

夢にも人を見つる夜は 第十九夜・ハッカ煙草

こんな夢を見ました。

公園のベンチにすわっていると、どこからかハッカ煙草の香りが流れてきます。
周囲に煙草を吸っている人はいません。二~三歳の子供を連れたお母さんらしき人、五~六人のランドセルを背負った小学生がいるばかりです。

その香りはどうやら、すぐ近くのすべり台あたりから流れてくるのです。
そこには誰かが今まで立っていたのだと、そう思えてならないのです。

夢にも人を見つる夜は 第十八夜・高津駅

こんな夢を見ました。

田園都市線を高津駅で降りると、すぐ目の前が広い道路になっています。
そこを左に折れると、焼けつくようなアスファルトの道を歩きだすのです。肩には、ボストンバッグの紐が重く食い込んでいて、痛いのです。

あの頃、そうして何度その道を歩いたことでしょう。何度歩いても、ひどく遠い道のりに思えたものです。その道は、週末に実家に帰る時にしか通らないと決めていて、他の日はアパートから会社まで用水路沿いを通ったものです。

横を、色とりどりの車が何台も走っていきます。そのうちの一台、銀色のスカイラインが音もなく停車して、窓からFくんが顔をのぞかせます。
「乗せていこうか?」Fくんが、同期でいちばん最初に車を買ったことを思い出しました。

ボストンバッグを後部席に入れると、助手席に乗り込みます。初期型のカーナビが、車の走っている場所を白い矢印で曖昧に表示しています。
「それはまだ玩具みたいなものだけれど、あと何年かたったら、もっと正確に場所を表示できるようになるんだって、メーカーの人が言っていたよ」もの珍しげにのぞきこんだ視線に、答えを先回りしてFくんが言います。

「車だけじゃなくて、携帯電話にもね」という言葉は、そのまま飲み込んでしまいました。Fくんは、移動体通信の仕事がしたいからといって、あれからすぐに会社を辞めてしまったのです。今、どうしているのかは知りません。

「不確かでもいいんじゃないかな。今は、そんなに先まで見ないでも」そう言うと、夢の中のFくんは、にっこりと笑うのです。

カーオーディオからは、シャーデーが低く流れていました。

夢にも人を見つる夜は 第十七夜・岡山駅

こんな夢を見ました。

岡山駅の夢は、いつも清心町の信号を南にこえたところからはじまります。
ゆっくりと駅まで歩いている途中なのでしょう。大学からの帰り道なのかもしれません。
道端にとめてある自転車に、午後の陽光が反射して、とても綺麗なのです。

西口の角の公衆電話にたどりつくと、緑色の公衆電話に10円玉をひとつ入れます。プッシュするのは、ほんの6桁の数字。そう、あの頃は、それだけで、あなたの部屋に繋ぐことができたのでしたね。
電話口のあなたの声は何を言っているのかわかりません。何か、異国の言葉でも聞いているような感じがするのです。

「いつもの場所で待つから」とだけあなたに告げて、定期券で西口の改札を抜けます。すぐ右手の地下通路を通って、反対側に抜けてしまいます。あなたと待ち合わせをするために、何度こういう定期券の使い方をしたでしょう。駅員さんに顔を覚えられているはずもないのに、定期券を示すのがなんだか恥ずかしい気持ちにさえなります。

地下街に出ると、左に折れます。あなたとの待ち合わせは、いつも三番街のそう大きくはない本屋さんでした。あの本屋さんも、いえ三番街も今はなくなってしまっていると、だれかに聞いたことを思い出します。

ふと視線を上げると、目の前には無機質なシャッターが広がっているばかりです。「いつもの場所」がなくなってしまった、ということに夢の中で気がつくのは、とても悲しいことですね。

もう一度、あなたに電話をしようとして、その番号が思い出せないことに気がつきます。あれから、何年がすぎたのでしょうか?あまりに多くの「いつもの場所」を、どこかに忘れてきたような気がするのです。

夢にも人を見つる夜は 第十六夜・ぐるぐる

こんな夢を見ました。

高校まであともう少しというところで、自転車のタイヤがパンクしてしまいます。
そして、少し離れたところにある自転車屋さんまで、自転車を押していくのです。
「ああ。これはだめだね。チューブがだいぶ痛んでいるから、修理するんじゃなくて、タイヤごと交換しないといけない」自転車屋さんは、そう言います。
見ると、タイヤから取り出されたチューブは、あちこちに補修がしてあって、つぎはぎだらけです。
仕方ないので、帰りに取りに来るので直しておいてもらえるように頼み、高校への道を歩き出すのです。
汗ばむような陽気で、上着を脱ぐと手にかかえます。その上着は制服ではなくて、濃紺色のスーツなのです。
はて?いったい高校に何をしにいくところだったのだろうと、考え込んでしまいます。そうだ、今、教育実習に来ているんだった。急がないと、授業に間に合わなくなる。そう考えて、走り出します。
けれども、いつまで経っても高校には着かないのです。なぜか、その周囲をぐるぐると走っているのでした。

夢にも人を見つる夜は 第十五夜・青い満月

こんな夢を見ました

夜、川沿いの堤です。
ススキがしげっていて、風になびいています。
遠い道を歩いてきたようで、足が重くなっているのです。

立ち止まり、見上げれば、中天に青い満月がかかっています。
その月の周囲には、首飾りのようなきらめきが取り巻いているのです。もし、土星の輪を近くで見れば、そのようにも見えるのでしょうか?

「地上は変わらないのに、月は変わってしまったなあ」と、悲しい気持ちになるのです。

重い足をひきずりながら、それでもいつか、あの月に辿り着きたいと思います。

遠くに、牛蛙の鳴く声が、低く響いていました。

夢にも人を見つる夜は 第十四夜・声は聞こえない

こんな夢を見ました。

教室のような場所です。
黒板を背にして、今まで仕事でかかわってきたお客様が、一列に並んでいらっしゃいます。
今の仕事をはじめたばかりの頃にお世話になったKさん、Mさん、U課長。いろいろとご迷惑をかけたIさん、Oさん、Aさん。つい昨年、ごいっしょさせていただいたF課長、S係長、Tさん、Yさん。
みなさん、こちらを向いて、にこにことしていらっしゃいます。S係長が一歩前に足を踏み出し、何事かしゃべっていらっしゃいますが、声は聞こえません。
真剣に、耳を傾けるのですが、声は聞こえないのです。
笑っていらっしゃるので、怒られているわけではないようなのですが、ちょっと心配になってしまいます。
そして、みなさんとお会いすることのできない、遠い場所に来てしまったなあ、と考えているのです。

夢にも人を見つる夜は 第十三夜・フロンテ

こんな夢を見ました。

幼い頃に繰り返し見た夢です。
田舎の祖母の家からの帰り道なのです。
もう、すっかりと夜になっていて、見上げても空には星ひとつありません。遠く、切れかかった街灯が、白く淡い光を断続的に放っています。
父の車は緑色のフロンテ。ウインカーを出すと、いつもの四つ角を右に曲がってスピードをあげます。と、突然、助手席のドアが開き、道路に転がり落ちてしまうのです。
車は、止まることなく、ドアをパタパタといわせながら、遠くに走り去ってしまいます。ひとり路上に取り残されて、「ああ、またこの夢だ」と思うのです。そして、必ず泣きながら目を覚まします。

「そんなことをするわけがないだろう」父は、この夢の話をすると、怒ったようにいつもそう言ったものでした。そして、父の車がべつのものに変わる頃、この夢を見なくなったのです。

夢にも人を見つる夜は 第十二夜・マンデリン

こんな夢を見ました。

あの喫茶店で、ふたりで珈琲を飲んでいるのです。
あなたは、いつもマンデリン。酸味が強いのは苦手だといって、苦味が勝ったマンデリンを好んで飲んでいましたね。

店の中に流れているBGMは、ポールモーリアの「恋はみずいろ」。カウンタの後ろにおかれた小さなオーディオは、時間の流れをゆるめるための魔法です。古いレコードから録音したらしいカセットテープには、レコードの上を針が走っているときの音までが、残っているようでもありました。

窓の外に、大学前の銀杏並木が見えます。黄色くなった葉が、風に吹かれて舞い落ちるのが、手に取るようにわかります。午後の陽射しは、日に日に弱くなっていくようです。秋も、もう終わりなのでしょう。

手にした珈琲は、さっきよりほんの少しぬるくなっています。失われた温度が、大切な時間の断片のようにも感じられるのです。

夢にも人を見つる夜は 第十一夜・懐かしい人

こんな夢を見ました。

とても懐かしい人に会うのです。
午後の街角を散歩していると、その人が向こうからやってくるのに気がつきます。その人はゆっくりとした歩調で近づいてくると、こちらの顔を認めてにっこりと微笑んでくれるのです。

挨拶をしようとするのですが、どうしたことでしょう、その人の名を思い出すことができません。仕方なしに、「おひさしぶりです、あれからどうされていますか?」などと無難な言葉を選びます。

その人は、ちょっと傷ついたような顔をします。
まるで、自分が今どうしているのかは、よく知っているではないかというような表情です。こちらをじっと見つめると、悲しそうな顔をして、何も言わずに手を振って、立ち去ってしまいます。

さて、いったい誰だったんだろう?そう考えながら、また道を歩き出します。二度とふたたび会うことがないことだけが、重く目覚めの記憶に残っているのです。

夢にも人を見つる夜は 第十夜・イワシ

こんな夢を見ました。

「コンピュータの代わりにY商事からイワシが届いたそうだ」
N課長が怒っています。
Y商事に電話をして事情を説明させるように指示されました。
Y商事?知らない名前です。

N課長があせっているようなので、とにかく電話番号をネットで調べて、こちらの事情を話すのですが、なにやら話がかみあいません。
どうやら、相手担当者は、N課長が言うような事実は起こっていないし、起こりようもないということを言いたいみたいです。

「とにかく、発注されたコンピュータ部品ではなくて、イワシがたくさん届いたなどということはないはずですよ」

イワシって、やっぱり魚の鰯のことでしょうか?

夢にも人を見つる夜は 第九夜・落丁

こんな夢を見ました。

とても面白い本を読んでいます。
ページをめくるのももどかしいほど、わくわくするお話なのです。

ところが、読み進めていくうちに、最後の章が落丁なのか、ないことに気がつきます。お話のクライマックスのところで中断することになって、とてもがっかりしてしまいます。

その本を買った本屋さんに、取り替えてくれるように、持っていくのです。すると、「ああ。この本は回収になってます。返金しますから、こちらに渡してください」と言われてしまうのです。

お金ではなくて、落丁していない本がほしいことを伝えるのですが、本屋さんは首を横に振ります。「内容がまずいので回収なんですよ。もう、どこの店先にもありませんよ」

途方に暮れて、再版の予定はないのか重ねて尋ねても、何も知らないとのことでした。

この本の結末は、ずっと知らないことになるのかもしれないと、ぼんやり考えているのです。

夢にも人を見つる夜は 第八夜・課題の絵

こんな夢を見ました。

朝、出かける用意をしていると、父が「雨が降り出したけれど、どうする?」と尋ねます。
レインコートを着て、自転車で出かけるのが、億劫でなりません。学校までは自転車で30分ほどもかかるのです。
バスに乗ろうかと思って時刻表を見ていると、表からクラクションの音がします。
「車で送りますよ。早くしてください」顔をのぞかせたのは、会社の後輩のFくんです。
ああ、そうか。もう学校には行かなくていいんだったと、妙に納得した気持ちになります。

でも、学校に行かなくていいのならば、さっきバッグに詰めようとしていた、今日提出の課題の絵は、いったいどうすればいいのでしょう?

夢にも人を見つる夜は 第七夜・ショッピングセンター

こんな夢を見ました。

キッチンで、ネットでの友人Tさんがキャベツを刻んでいます。
その傍らに立っているのは、会社の後輩のAくん。

Aくんは、モスグリーンの大きな冷蔵庫の扉を開くと、「材料が足りませんね。買いに行きましょう」と言います。

財布を手に、Aくんと玄関口に出ます。
と、そこは自宅といっても、小学生の頃に住んでいた、平屋の玄関であることに気づきます。
ああ。ここからなら、あのショッピングセンターが近いな、と考えています。今はもうないはずの店なのですけれど。

Aくんが「Gは理論はいいんだけれど、実戦に弱いですよね」と話しかけてきます。Gくんは、もう会社にはいない後輩です。

道に出ると、いやに大きな夕陽が、毒々しいほどに紅く沈んでいくのが見えました。

夢にも人を見つる夜は 第六夜・夜汽車

こんな夢を見ました。

夜汽車に乗っているのです。
電車ではありません。

窓の外には何も見えない夜の中を、汽車はひたすらに走っていくのです。
雨の音が激しく聞こえていて、水滴が窓のガラスに流れています。

頭上には、白々と蛍光灯の光。

硬い木製の座席に身をもたれさせ、次の駅にはいつ着くのだろう、と考えています。

駅に着いたら、広島支社のAくんに電話しないといけない。
車で迎えにきてもらわないと、出張中に滞在することになっているホテルに辿り着けそうにもないから。

窓のガラスを息で白くしてから、そこに「へのへのもへじ」を描いてみます。

すると、通りかかった車掌さんが「ほう、似ていますね」と言うのです。

「誰にですか?」と尋ねると、「…さんにですよ」という答え。

…さん?思い出せません。
駅に着くまでに、思い出しておかないと、と考えているのです。

夢にも人を見つる夜は 第五夜・封筒

こんな夢を見ました。

部屋の中に大学の同窓生MさんとUさんが座っています。
8畳ほどの和室のまんなかに、テーブルが据えてあって、Mさんはそこで書き物をしているのです。
「ねえ、あとは任せて大丈夫だよね?」 Mさんが言います。
何も答えずにいると、Uさんが「OK。全部わかっているから」と答えます。
ここは、ふたりの部屋ではないのになあ、とぼんやり考えています。

そのうち、Uさんが冷蔵庫を開いて、A4サイズほどのクラフト封筒を取り出し、こちらに差し出します。「これ、Mの大事なものだから、間違いなく書留めにしてね」

その封筒を受け取ると、真夏の強い日差しの中を、郵便局に向かって走り出すのです。この封筒を出すのは、どうして今じゃないといけないのだろうと考えながら。

夢にも人を見つる夜は 第四夜・約束

こんな夢を見ました。

中学時代の友人Mから電話がかかってくるのです。
携帯電話ではなくて、家の古いプッシュホンです。

うれしくなって、最後にMと会って以来のことを、いろいろと話し合います。
ずいぶんと長く話していたのでしょうか?
母が「もう、いいかげんに電話をやめなさい」と言います。

Mと近く会う約束をして、電話を切ります。

そして、切ってから思い出したのです。
Mが、もうずいぶん以前に亡くなったことを。
約束の日時は、遠い過去のものであることを。

夢にも人を見つる夜は 第三夜・朝の神社

こんな夢を見ました

坂の途中にある神社の鳥居のあたりから、白い煙のようなものが流れています。
線香かな?と思うのですが、お寺ではなくて、神社なのです。
朝早くなのに、どうして線香を焚くのだろう?と思っています。

しばらく立っていると、左の方から、会社の先輩Iさんが歩いてきます。Iさんは、3歳くらいの女の子を抱いています。女の子は赤い玉がついた髪どめをしています。

「どうして早くいかないの?」とIさんは坂の上を指さすのです。坂の上は白い煙でよく見えません。「さあ、もう行かないと」とIさんは言うのです。

夢にも人を見つる夜は 第二夜・海沿いのバス停

こんな夢を見ました。

海沿いの、アスファルトの道を、ずいぶんと長い間歩いています。
防波堤の向こうにあるはずの海を見ることなく、ただ黙々と。

やがて、向こうのバス停に、人影が現れるのです。
Mさん?と思います。Mさんは大学の同窓生です。
でも、その人影は、Mさんではありません。Mさんのお母さんなのです。

「遠いところをご苦労ですけど、Mはもうこの街にはいません。どこに行ったのかは、あなたのほうがよくご存じでしょう?」

Mさんのお母さんはそう言いましたが、知らないのです。
そのことを説明しようと思いますが、うまくいきません。

Mさんのお母さんの顔は、逆光で黒くなっていて、はっきりしません。

Mさんのお母さんに会ったことは、一度もないのです。

夢にも人を見つる夜は 第一夜・快速電車

こんな夢を見ました。

午後遅く、あるいは夕方近くなのでしょうか。
陽の光からして、そんな感じがします。

JRの快速電車に乗っています。
これから家に帰るのだと思っているので、きっと上りの電車なのでしょう。
空いていて、座席は2/3ほどが埋まっている程度です。

駅を出てしばらくたったとき、急ブレーキがかかります。
少し離れたところにすわっていた中年女性のグループ何人かが、何事かを叫んでいます。
電光掲示板には、何か表示されているようですが、立ち上がった人たちの背中にかくれて、見ることはできません。
そして、車内放送も、人々の叫び声にかきけされてしまうのです。

そして、窓の外には……

2010/11/08

『アマガミSS 第18話 テツダイ』 に「百忍通意」の掛け軸が

このあいだアマガミSSを見ていたら、茶道部の部室のシーンで掛け軸に「百忍通意」と入っていた。「ひたすらに耐え忍べば、必ず意は通じる」という意味でしたね。『エースをねらえ!』で桂コーチの自室にかかっていたのが、この文字でした。
しかし、このアニメの場合、いったい何を耐え忍ぶと、どんな意志が通じるっていうのでしょう(笑) そういえば、ニョーボが、女の子は何回かごとに変わるのに、男の子は<全部同じような顔に見える>のはなぜか、って真面目に質問していましたよ……。少なくても、そういうことで、この主人公が何かに耐え忍んでいるようには、まったく見えませんよね(笑)。

西崎義展さんの訃報

西崎義展さんの訃報にふれる。
『宇宙戦艦ヤマト』たいへん楽しませていただきました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。



2010/11/06

佐野洋子さんの訃報

『100万回生きたねこ』の作者、佐野洋子さんの訃報にふれる。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

2010/11/03

『小説 キャンディ・キャンディ FINAL STORY』 (名木田恵子) 出版

 先日書店で、『小説 キャンディ・キャンディ FINAL STORY』という本が上下巻で平積みになっていたので、パラパラとめくってみました。まだ読んだわけではないので感想ではないです。
 作者は名木田恵子さん。言わずとしれたことですが、『キャンディ・キャンディ』の原作者である水木杏子さんの別名義ですね。不幸なトラブルにより、今、いがらしゆみこ画の漫画を読むことやアニメを通常の方法では観ることができないのは、とても悲しいことです。上記の本を斜め読みしてみて、興味はそそられたのですが、やはり画がないとなあ、とか思ってしまうのですよ。大人になったキャンディの回想とか入っているようなので、あの物語の後を知りたい往年のファン向けなのかもしれません。
 家には、ニョーボのものですが、昔のなかよしコミックス版がちゃんと全巻揃っているので、それを読み返してから、読んでみるのもいいかもな、とか思っております。でも、やっぱりアニメでも、もう一度きちんと観たいですね。いい話なのに惜しいなあ、と思います。

2010/11/01

水嶋ヒロ 『KAGEROU』 で ポプラ社小説大賞を受賞

水嶋ヒロが小説大賞!本名で応募
ポプラ社小説大賞を受賞とのこと。いったい、どんな話なんだろう?ぜひ読んでみたいと思う。いつごろ刊行されるのでしょうね?

『仮面ライダーオーズ/000 第9話 ずぶぬれと過去と灼熱コンボ』 感想

『仮面ライダーオーズ/000 第9話 ずぶぬれと過去と灼熱コンボ』を観ました。

10月31日放映ということで、クスクシエはハロウィンパーティ。この店のコンセプトは、やっぱりよくわからないなあ。比奈にアイスを取り上げられた上、鳥料理を無理矢理食べさせられるアンク。これって、やっぱり共食いなのかいな。いや、まあ赤のコアメダルに鶏はないだろうから、案外大丈夫か(笑)。そして、追い打ちをかけるようにメダルの取り立てが。1日に10%って、悪徳金融業者よりもどひどいぞ。どんな暴利?弁護士事務所に駆け込むんだ、アンク!
爆弾犯人とサメヤミーの繋がりがいまいち見えないが、映司の過去は明らかに。あの女の子はやっぱり死んでしまったのだな。子供番組にしてはヘビーな設定である。まあ、世界にはそういうこともあるということだ。
光るだけで敵を一蹴とは、ラトラーターコンボは、レイズナーのV-MAXか(笑)。でも、今回の肝はラトラーターコンボだと思っておったのだが、人形男・真木に食われておるなあ。怪人ですらないのに、腕に人形をつけただけで、あの怪しさ、すばらしすぎる。

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