【読書】2012年の読書遍歴

2013/01/06

『さよなら、そしてこんにちは』 (荻原浩) 感想

「さよなら、そしてこんにちは」、「ビューティフルライフ」、「スーパーマンの憂鬱」、「美獣戦隊ナイトレンジャー」、「寿し辰のいちばん長い日」、「スローライフ」、「長福寺のメリークリスマス」の7編。
「スーパーマンの憂鬱」のスーパーマンは、マントを着けて空を飛ぶあれではなくて、スーパーマーケットに勤める係長の話。テレビでこうすれば健康になるという食材が紹介されるたびに右往左往するという、いやもうなんだかなあ。サラリーマンは本物のスーパーマンより激務だわな。そして、戦隊ものの俳優目当てで週末を楽しみにしているママさんを描いた「美獣戦隊ナイトレンジャー」はツボ。しかし、甘いよママさん。変身後のスーツアクターは別人だから興味ない?顔の見えない彼らのおっかけしてる女の子たちだっているのだよ(笑)。まあ、このママさんが遊園地のショーで出会ったようなひどい俳優は、実際にはいないと信じます。だいたい、ああいう現場でいちばん偉いのは、悪者の親玉役をやりながら舞台を牽引している人だったりするのです。

『ちょいな人々』 (荻原浩) 感想

「ちょいな人々」、「ガーデンウォーズ」、「占い師の悪運」、「いじめ電話相談室」、「犬猫語完全翻訳機」、「正直メール」、「くたばれ、タイガース」の7編。
動物の本音が聞こえてしまう犬猫語完全翻訳機で大笑い。なんだかなあ、と思っていたらその次の話が人間の本音がもれてしまう「正直メール」だよ。この会社、完全につぶれたのではないか、と思う。まあ、「正直メール」のラストは、さいきん同じことを考えていたので、そうだよな、と同意します。メールですべてが片づくわけじゃないのだよ。最後は、結婚の申し込みに来た虎キチの恋人と巨人が命の父親の間でふりまわされる娘を描いて、とってもいい感じの「くたばれ、タイガース」でほのぼの。

『ビブリア古書堂の事件手帖 栞子さんと奇妙な客人たち』 (三上延) 感想

本を読んでいる黒髪の女性のイラストになんとなく魅かれて購入。北鎌倉でビブリア古書堂を営む栞子と活字が苦手な大輔の物語。第一巻は夏目漱石『漱石全集・新書版』(岩波書店)、小川清『落穂拾ひ・聖アンデルセン』(新潮文庫)、ヴィノグラードフ・クジミン『倫理学入門』(青木文庫)、太宰治『晩年』(砂子屋書房) を扱っています。古書の蘊蓄をテーマにしているわけですが、これが清楚な感じの若い女性から発せられるというギャップがよいのですよね。世の中には古書というものに特別の思い入れがある方々がいらっしゃるわけですが(ひと事のように言うなという意見が聞こえてきそうです)、その妄執のようなものは、まあ判る方にしか判らないのかと考えていました。それをこのように表現された作者の力量は、すばらしいものだと思います。
ドラマ化されるということで、栞子のイメージが違うという意見をあちこちで見かけますが、自分としてはこのギャップをどのように演じ、 古書に対する妄執を一般の方にどのように伝えることができるのかというその点のみを気にしています。ドラマがよい出来であることを期待しつつ。

『儚い羊たちの祝宴』 (米澤穂信) 感想

「身内に不幸がありまして」、「北の館の罪人」、「山荘秘聞」、「玉野五十鈴の誉れ」、「儚い羊たちの祝宴」の5編。
夢想家のお嬢様が集う読書サークルという設定がいいなあ、と思います。それで会の名が「バベルの会」、どんな本を読んでいるのかのぞいてみたくなります。その会の描写はほとんどされていなくて、ほのめかされている程度なのも秘密めいて素敵です。そして、まずは「身内に不幸がありまして」のなんとも言えない毒気にまずは当てられてしまいます。お嬢様、怖いです。この毒気にやられたままで読み進むわけですが、「山荘秘聞」には、あの「牛の首」が出てきたり、そもそも表題作の羊はあのアルミスタンの羊だったり。くらくらします。何の説明もないのですが、わかっている人はわかっていますよね、的な共犯者意識を読者に持たせてくれます。牛の首やアルミスタン羊を知っているところで、もう読書サークルに参加している気分になれるわけですな。米澤氏の作品ではいちばん好きかもしれません。

『奇談蒐集家』 (太田忠司) 感想

「自分の影に刺された男」、「古道具屋の姫君」、「不器用な魔術師」、「水色の魔人」、「冬薔薇の館」、「金眼銀目邪眼」「すべては奇談のために」 7編の連作短編集。
「ほんとうに不思議な話なんて。そう簡単に出会えるものじゃない」か。それは身も蓋もない言い様だが、ほんとうの奇談幻想は人の心の中にこそあるということであろう。

『完全なる首長竜の日』 (乾緑郎) 感想

読んだ後、地面が揺らぐような気持ちになる。こういうテーマの物語は他にもいくつも読んでいるはずなのだが、引き込まれ方が強烈であった。映画化されるそうであるが、この眩惑感を映像でどのように伝えようというのだろう?

『銀婚式物語』 (新井素子) 感想

『結婚物語』、『新婚物語』の続編。正彦さん・陽子さんのその後が描かれる。というか、前作と同様に作者である新井素子氏の経験がほとんどその素材になっておるのだろうなあ。とても興味深いのは、家を建てる話である。家というよりは巨大な本棚が欲しいのだという主張に、なんともうらやましい思いがするのは、ぼくだけではあるまい。引っ越してから本の整理に2年かかったというエピソードには、同情すると同時に羨望をおぼえる。
日本テレビは、ぜひ陣内孝則・沢口靖子でスペシャルドラマ化していただきたい。ついでに、家を建てる話の時は、実際の新井家でロケを敢行していただきたいものだ。
余談だけれど、この話の主人公・陽子さんの家族の名前ってすごいよな、と今さらのように思ってみたり。名字が原、父は力、母は光子、妹は粒子だものね。きわめつけは、祖母のカク。まるで手塚治虫の某国民的アニメのようじゃありませんか。

2012/12/24

クリスマスにはクリスマスらしくクリスマスじみたことを

えー、みなさん。「エンドレス・エイト」じゃないですが、「クリスマスにはクリスマスらしくクリスマスじみたこと」を(笑)しなきゃならんです。
そんなわけで、毎年、クリスマスにはそれらしき本を読むことにしているのですが、今年の一冊はケストナーの『飛ぶ教室』を選んでみました。いや、べつにO・ヘンリーの「賢者の贈り物」でもディッケンズの『クリスマス・キャロル』でも、なんでもいいわけですが、今年は『飛ぶ教室』の気分なわけですよ。
<飛ぶ教室>というのは、キルヒベルグの高等中学校の生徒たちがクリスマスに上演しようとしている劇の名前なのです。劇を上演しようとしている中心となる5人の寄宿生たちと、舎監の正義先生や鉄道の禁煙車両を家代わりにしている禁煙さんとの交流を描いたこの物語は、何度読んでも面白いですね。本屋ですぐに手に入るのは、岩波少年文庫版でしょうか。
ちなみに、『クリスマス・カロル』「賢者の贈り物」なら青空文庫でも読めますね。

2012/12/09

マヤの予言

ノズトラダムスの「1999と7の月」の予言のあたりで、もしほんとうに世界が滅びるなら、スペンサー・シリーズを出ているところまで読んでからにしてほしい、というような内容を当時の日記か感想文のどこかに書いた、と思う。過去のソースを調べてみれば、どこに書いたか判るのだが、まあいいか。
そして、今月、21日は例のマヤの予言である。いやまあ、予言だかなんだかも、そもそもよくわからないけれどなあ。スペンサー・シリーズはすべて文庫化され、未読はあと2冊を残すところとなった。『盗まれた貴婦人』と『春嵐』である。週末に買って読もうとしたら、『春嵐』はあったけれど、『盗まれた貴婦人』がないのだな。3~4軒、書店をまわってみたのだけれど。とりあえず、探して読むことにしよう。


2012/10/27

第53回神保町古本まつり に行ってきました

明日の日曜は天気があやしいようなので、無理矢理に金曜のうちに仕事を何とか押し込めて、今日、神保町の古本まつりに行ってきました。昨年は仕事の都合でついに行けなかったので2年ぶりです。ほんとうは、29日(月)の<お化け大学校特別講座>とか、30日(火)の<対談・澁澤龍子×東雅夫「澁澤龍彦と幻想文学」 >とか興味あるわけですが、仕事の都合上、平日はきびしいものがあります。
ふだんでも、1日ではすべてを見てまわることは困難な神保町ですが、毎年この期間は歩くのも困難なほどに人が溢れていて、移動がたいへんです。というか、自分自身があちこちで歩道上のワゴンに目を留めては邪魔になっているわけですが・・・・・・。そして、これは、と思う本を手にしてみると、いかにセールとはいえ5000円以上のものにやはり目が行ってしまうようで、買うことができずにフラストレーションが溜まる一方です。とりあえず入手したのは、早川の異色作家短編集の第2巻『特別料理』 (スタンリイ・エリン)。これは、昔、大学の図書館で読んだきりになっていて、手元にはなかったものです。
期間中に、もう一度くらいは行きたいものですが、スケジュール的にはちょっときびしいかもしれません。

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