【読書メモ・感想】『天狗風-霊験お初捕物控(二)』(宮部みゆき) 1997/11/30
「お初」の長編第二段。今度は若い娘が不可思議な状況で次々に神隠しに遭うという話。「霊験お初」だけに今度も事件には超自然現象がからんでおり、奉行所の通り一遍な調べではらちがあかないのだが。ワトソン役には前作より続投で右京之介、脇をかためる個性的な市井の人々も健在である。
それにしても神隠しというのは昔はほんとうにあったのだろうか?何年も行方知れずになっていた子供がまたふらりと現れたり。ちょっと怖い。そんな現在という時代には決して棲むことを許されない「魔」が、江戸という遠い過去にはまだまだ潜んでいたのかも知れない。この作品で何がすごいと言って、このような不可思議な素材を用いながら、違和感を感じずに時代物としても読めるということだよね。まあ、考えてみれば宮部作品はずべてそうなのかも知れないが。『震える岩』を読了したところのあなた、ぜひ書店に走るべし。(1997/11/30)
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