【作家】井沢元彦

2009/03/15

『逆説の日本史9 戦国野望編』 (井沢元彦) 感想

事象だけを見るのではなく、なぜそうなったのか、だれがそうしたのかを考える。いわゆるホワイダニットやフーダニットはミステリでは常識すぎる常識でしょう。しかし、こと歴史に関しては無味乾燥な年号暗記に終始するのはどうしてでしょうね?受験勉強の悪影響でしょうか?鉄砲伝来-ポルトガル人-種子島、ついでに1543年は年号暗記の定番中の定番で<以後予算増える>。さて、これ以上のことは、ほんとうに知る必要のないことなのかどうか?それはこの本を読めばわかります。
なぜポルトガル人が種子島に?1543年だったのはどうして?こういう視点もありえることは初めて知りました。もちろん井沢氏の新説も満載ではあるのですがね。このシリーズを読み始めたとき、ぼくは歴史が下るにつれて書くことが減ってくるか、それこそ奇説の類に偏っていくのではなどとも思っていたのですが、もちろんそんな心配などは無用だったわけです。この鉄砲伝来の真実を含む第二章「海と和寇の歴史編」はもちろん、井沢作品で信長を扱ったものを読まれたことがないなら第五章「織田信長の野望編」も必読でしょう。

2008/11/30

『どすこい(仮)』(京極夏彦) 感想

仮……仮って何だ?とまずは思う。手にとってその異様なまでに暑苦しいカヴァーとか妙な感じの手触りに妙に不安になる。しかし、これではデブは人間ではないようではないですか?ううむ、笑えない、笑えないぞ(笑)。変な装丁だと思っていたら「求道の果て」の日記に吉田戦車の『伝染るんです』と同じ方の想定だと書いてあった。なるほど。
そもそも、笑いと恐怖ってのは突き詰めれば同じもの、ひとつの感情の裏表なんだから、京極ユーモアってことは、もしかして怖いのか?とか思っておったのですが、これはどう書いてよいものか?あああああ、なんというか、ひたすらに莫迦らしい?途中からパロディのような気もぜんぜんしなくなってしまったしなあ。『仮名手本忠臣蔵』の幕間に演じられたのが『東海道四谷怪談』だから、『嗤う伊右衛門』の幕間にこれを?ううむ、動機はどうあれ、要するにこれは……地響きがすると思っていただくほかないのであろうか????? (2000.02.12)

※AmazonLinkは文庫版のものです。

2008/10/25

『逆説の日本史7 中世王権編-太平記と南北朝の謎』 (井沢元彦) 感想

井沢氏の説がすべて正しいかどうかはともかくとして、『逆説の日本史』を読んでいつも思うことは、もっと疑問を持たないとだめだなあ、ということである。なにしろ、日本史というやつはけっこうくせものでしょう?基本的なところは小学校高学年の頃から勉強してきているわけで、そうすると見過ごしたまま思いこんでいることって案外多いのではないだろうかなあ?
例えば、今巻の山場は「天皇になろうとした将軍」足利義満のところだと思っていたら、それ以上に考え込んでしまったのが「恐怖の魔王」足利義教……。義満についてはけっこう詳細に学校でも教えていた記憶があるんだけど、その上辺が同じでもモチベーションがこれだけ異なると面白いよなあ、という感想。でも、義教については、そういえばそんな名前も出てきたかなあ程度にしかおぼえてないわけで、その人物がこんなに歴史上重要なんだよとやられると、今まで自分が受けてきた教育そのものを疑ってしまう……。なにしろ「魔王」だもんなあ。このキーワードでピンとくる人間がきっと少ないんだろうということこそ、教育が日本史嫌いを増やしているんじゃないの?とか思ってしまうんだけど、いかが?(1999/09/26)

2008/09/07

『逆説の日本史6 中世神風編 鎌倉仏教と元冦の謎』 (井沢元彦) 感想

「元冦」の時の神風体験がその後の日本の防衛音痴の原因となっているという後半部分も面白いが、個人的には前半の鎌倉仏教の解説部分がとても面白かった。いつも思うことだが、中学高校と日本史を習ったはずであるのに、自分はまったくさっぱりそれを理解していなかったのだということである。井沢説をとるかどうかは別にして、自分の歴史観の再検証をしてみるという意味がこの本にはある。
特に小乗仏教と大乗仏教の差異とか念仏、題目、禅、密教のわかりやすい説明がよい。今まで判ったような判らないようなという感じだった部分が時系列で説明されているので、なぜそのような宗教が成立したのかという根本が理解しやすい。読んでいて思ったのは、前半のこの宗教解説部分は逆説でもなんでもないということである。つまり、それほどに学校教科書では宗教についての説明がおざなりだということなのかもしれない。あるいはぼくがきちんと歴史教科書を読んでいないだけなのだろうか?(1998/06/29)

『「日本」人民共和国』(井沢元彦)感想

題名からも作者の意図は明らかですね。もしも日本が北朝鮮のような国家になっていたらという仮想の歴史小説です。新聞記者である主人公は取材先で原子力発電所の事故に巻き込まれ、もうひとつの日本の歴史に迷い込んでしまうというパラレル・ワールドSF仕立て。井沢作品にしてはエンタテイメントということも手伝って少々悪乗りしすぎた部分もあるように思ったけれど、このような国家がごく近所に実在しているのだと思うと暗澹とした気分にもなります。もう少し政治的背景を突っ込んで書いてあってもよいのではないかとは思ったけれど、逆に井沢作品への入門書として読むのなら案外よいかもしれないなあ。ブラックな味付けの興味深い作品でした。憲法9条の問題については、『逆説の日本史』『言霊』などのノンフィクションで触れてあるので、この作品からお読みになる方はそちらも参照されるのがよいと思います。(1998/04/19)

2008/09/06

『天皇になろうとした将軍』(井沢元彦)感想

井沢元彦の歴史ノンフィクション。表題は足利三代将軍義満のことである。なぜ戦乱記を『太平記』と呼ぶのかという謎を発端に室町幕府の成立事情と後醍醐天皇の建武の新政の関わりを解きほぐしていく。いつも驚くのは氏の眼にかかると高校まで日本史で習った時には何も感じなかった数々の事柄に新たな疑問が起きてくることである。本書でも「鹿苑寺金閣」、「平等院鳳凰堂」、「聚楽第」という時代の異なる建築物の持つ意味の解析など思わず唸ってしまう部分が各所にある。本書の成立は『逆説の日本史』に先行するものではあることは承知しているが、『逆説の日本史』では語り切れない細部について他でも各論的な研究書が著されると面白いかもしれない。(1998/03/15)

『日本史の叛逆者-私説壬申の乱』(井沢元彦) 感想

天智天武非兄弟説というものがある。天智天皇と天武天皇は兄弟ではなかったとする説である。???ちょいと待っておくれよ。だとすると皇統は連綿としてないってことかとか、あの有名な「野守は見ずやきみが袖ふる」の額田大王との恋愛ってどうなるのかとか疑問が百出するでしょう。そう、これはそんな物語なのです。しかも、中学や高校で日本史を習った時に感じた漠然とした疑問(例えば天智、天武、額田の三角関係)とかにもじつにすっきりした解決がつけられます。叛逆者はもちろん大海人皇子のことで、彼が歴史の表舞台に登場する事情を大胆な仮説を用いてドラマに仕立ててあります。同じテーマを扱った同氏の『隠された帝』のように歴史家というフィルターを通さず描いてある分ストレートに楽しむことができます。前後の歴史的解説として同氏の『逆説の日本史2古代怨霊編』を併読されるのもよいかと思います。(1998/1/11)

2008/04/16

『洛陽城の栄光』(井沢元彦)感想

「本能寺の変」の真実をテーマにした長編歴史ミステリ(SFといったほうがよいか)。時間犯罪者のせいで本能寺で光秀に殺された筈の信長が生き延びてしまい、その後の歴史に狂いが生じるというストーリーです。少し食い足りない気がします。もっと深くしてもよかったのではと思うのですが、歴史ミステリー初心者なら充分に堪能できるでしょう。ぼくとしては「逆説の日本史」においてこのテーマがどのくらい掘り下げられることになるか、その方に興味がありますね。
信長が生き延びていたら、いずれ天皇を否定し自ら王(この場合はヨーロッパで言うところの)を名乗ったであろうことは色々な方が書いておいでだし、これが光秀謀反の遠因となったという説もあちこちで見かけた記憶がありますが、その集大成といったところです。(1997.4.27)

『逆説の日本史5 中世動乱編』(井沢元彦)感想

「逆説の日本史」シリーズも早くも5巻目である。ここまでくると、どのような新説が出てくるかではなくて、「言霊(ことだま)」と「怨霊」という作者ふたつのテーマがどのように歴史にかかわってくるのか、ということに興味は絞られてくる。自衛隊と「言霊」のかかわりについての研究が作者にはあるくらいだから、鎌倉時代とこの2大テーマが関係ないわけないのである。今回は特に源氏はなぜ三代しか続かなかったのか、執権政治の本質とは何かといった箇所がとりわけ興味深い。
氏の著作に親しんでいない方のために申しあげておくが、これはぜったいにオカルト的研究書ではない。それどころか、鋭い論理のメスで現代人の虚妄を鋭く抉ってくれる快作なのである。でき得るならば第1巻からの順次購読をお薦めする。(1997.4.13)

2007/02/12

『忠臣蔵元禄十五年の反逆』 (井沢 元彦) 感想

歴史ミステリというと、まず思い浮かべる作家は井沢元彦です。梅原猛の『水底の歌』に材をとった秀逸なデビュー作『猿丸幻視行』以来コンスタントに発表され続ける作品群はとてもすばらしいものです。ノンフィクションでも『逆説の日本史』シリーズをはじめとして、鋭い考察がなされています。さて、この作品は題名の通り忠臣蔵の真実を解き明かしていく趣向になっています。なぜ赤穂浪士は反逆しなければならなかったのか?吉良上野介はほんとうに悪人だったのか?松の廊下を写実的に描写したならば?そして、浄瑠璃『仮名手本忠臣蔵』に秘められた作者の真実の意図<将軍討罰>とは?義士討ち入りの日も近いことですし、このような物語も一興かと。(1996.12.06)

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