【作家】ドロシー・ギルマン

2009/05/10

『キャノン姉妹の一年』 (ドロシー・ギルマン)

叔父の遺した湖畔の家で新しい生活をはじめたトレイシーとティナの姉妹。父母の死後、べつべつの親戚に引き取られていたふたりだが……。
<おばちゃまシリーズ>のドロシー・ギルマンの初期作品ということです。Copyrightは1953年になっていますから、相当に前の作品ですね。一時、<自分探し>とか<ほんとうの自分>などという言葉が流行しましたが、この作品を読めばそれがいかに困難なことであるか判るでしょう。また、いかにすばらしいことであるかも同時に判るはずですが、その実現のためにこのような生活に耐えられますか?このような生活というのは、これまた流行の言葉で<スロー・ライフ>とでも言うのでしょうか?正直に言えば、ぼくにはこのようにする自信が持てません。きっと無理でしょう。読みながら、姉妹がそれまでの生活でどんなに追い詰められていたのか、と考えていました。姉のトレイシーの生活などは、考えようによっては誰しもあこがれる類のものですからね。自分を見つめ直すというのはほんとうに難しいことです。(2004/02)

2009/03/14

『テイル館の謎』 (ドロシー・ギルマン) 感想

事故の後遺症によって人生の階段から転げ落ちそうになっている主人公。変わり者で有名だった叔母の遺産である洋館を父の命令で整理のために訪れてみると、そこには不法在住者が……。彼らと触れ合ううちにやがて主人公は……。孤独なひとりの青年がいやされていく過程を綴った物語というと陳腐に聞こえてしまうのだろうかな?もしそうだとしたら申し訳ない。でも、その通りで、しかも安心して読める物語です。なんだか古い古い洋画の中にでも迷い込んだような気分で読了。疲れているときにはおすすめかも。(2001.06.24)

2008/11/30

『おばちゃまはシリア・スパイ』 (ドロシー・ギルマン) 感想

おひさしぶりの<ミセス・ポリファックス・シリーズ>、やはり面白いですね。こういうストーリーを創っても、てらいないっていうのがアメリカという国の素敵な部分だと思います。これ、もしも日本人だったなら嘘くさくなりませんか?ぼくの考えすぎでしょうか?失踪した名もなきひとりの女性を救うために、これだけの組織が動くというのはすごいことだと思うのですが……。また、そのために選ばれるエージェントがおばちゃまだっていうところがまたすごいですね。(2000.11.20)

『古城の迷路』 (ドロシー・ギルマン) 感想

何度もいうようで多少気が引けるんだが、やはり<おばちゃまシリーズ>と比較してしまうからいけないのでしょうね。ファンタジーにしては物語が平坦すぎるような気がするのだよ。うーむ。興味深いのは、これが前作『アメリア・ジョーンズの冒険』の作中作だということか。もっとも、成立は『古城の迷路』のほうが先で、出版順が逆ということらしいが。 『アメリア・ジョーンズの冒険』では各部のはじめにこの物語から意味ありげに引いてあったんだけれど、どうなんだろう?アメリアがあれほど真摯に『古城の迷路』に魅かれていた理由が、残念ながらぼくにはピンとこなかった。しかしながら、ひとりのどこにでもいるような少年の成長物語としては教訓深い部分も多々ある。もしかすると、小学校高学年くらいで読むとよいのかもしれない。(2000.05.06)

2008/11/16

『アメリア・ジョーンズの冒険』 (ドロシー・ギルマン) 感想

雑貨店を商品込みで買ったアメリアは、商品の手回し楽器ハーディ・ガーディのなかに不思議なメッセージを見つける。アメリアは楽器の来歴をさがしてみることにするが……。
主人公は自閉気味という設定にしてあるようだが、どうもこの設定はよい意味で裏切られているようだ。どう読んでも主人公が暗さを持っているようには読めないものね。まあ、だからといって、帯にあるようにギルマン作品の主人公の誰でも彼でもを<おばちゃま>ことミセス・ポリファックスと比較してしまうのはどうかと思うけれど。それと各部の冒頭にひかれている『古城の迷路』っていう作品、なんだか面白そうで読んでみたいなあと思ったら、作中作なのですね。その象徴するところはあまりにも明瞭だけれど、本作の主人公は見事にその迷路から抜け出せたようで、と書いておいてもギルマン作品に限ってはネタばらしにはならないでしょう。(1999/10/31)

2008/09/29

『伯爵夫人は超能力』(ドロシー・ギルマン) 感想

他人の持ち物からその過去や未来を「読む」ことができるマダム・カリツカを探偵役にすえた異色作品。このての能力を持った人物を登場させる場合、力を誇示させるか悩ませるかというのが常套だと思うのだけれど、なんというか能力が生活のごく一部として描かれているところはよいと思う。物語は連作短編風になっていて先行するエピソードのそれぞれが後続のものの伏線になっている。最初は懐疑的だったプルーデン警部補がだんだんと巻き込まれていく過程も面白い。ただ、この作者の作品にしては安易に人が死にすぎるような気もする。もっとも『ミセス・ポリファックス・シリーズ』で死人が出なかったわけではないけれど……。これはマダム・カリツカの能力がサイコメトリ的に設定されているためですね。起こってしまった事件から何かを推論するのがメインになってしまったから……。ちょっと惜しいような気がします。(1999/05/01)

2008/09/07

『おばちゃまはヨルダン・スパイ』 (ドロシー・ギルマン) 感想

「ミセス・ポリファックス・シリーズ」第13弾。前回『アフリカ・スパイ』の感想を書いているのが96年の12月だから、およそ1年半ぶりの新刊である。前回の感想にも書いたことだが、主人公を「おばちゃま」に設定する必然性がうすれてきたように思うのが気になるといえば気になるところ。ただし、この主人公には多分に作者自身が投影されているだろうから、そういう視点で読めばなるほどと思うこともある。
今回の舞台は中近東。イラクの反体制作家の遺稿を受け取りに行くというストーリーである。むしろ、そうか文学というのは世界的視点に立てばこのような使い方をされているのだな、という今更ながらのことに驚いてしまった。平和ぼけといわれても仕方あるまい。物語を物語としてだけ純粋に楽しめる国というのは世界にどのくらいあるのだろう?
また、外国の街並みや自然の描写が見事なのはシリーズを通じてかわらないところで、今回も異国情緒たっぷりで楽しめる。安定した面白さを楽しむことのできる好シリーズであろう(1998/07/05)

2007/02/18

『おばちゃまはアフリカスパイ』 (ドロシー・ギルマン) 感想

「おばちゃま」ことミセス・ポリファックスの活躍するハートフル・ミステリー。シリーズは早くも12巻目を迎えました。第1作ではCIAにボランティアとして押しかけたアマチュア・スパイのおばちゃまも、今では空手の達人であり、ワールドワイドな難事件を次々に解決。その活躍にはCIA局員カステアーズも一目置くほど。そこが少しさみしいな、と思うのはぼくだけか。もっと素人っぽさが残っていてもいいんだが。それでも、おばちゃまが庭の手入れをする感覚の延長上で事件に挑むのはやっぱりすごいよね。この作品は第11作『おばちゃまはサーカススパイ』の続編になっているので、未読の方はこちらとのセット購読をお勧めします。(1996,12,31)

2005/03/03

『マーシーの夏』 (ドロシー・ギルマン) 感想

4087604802マーシーの夏
ドロシー・ギルマン
集英社 2005-02

by G-Tools

【感想】
『キャノン姉妹の一年』に続く、ドロシー・ギルマンの初期長編です。<おばちゃまシリーズ>外の作品を読む時は、いつも比較するように読んでしまうせいか、ぼくとしては点が辛くなってしまうのですが、このたびは不思議とすっと物語に入っていけました。文句を言いつつも新刊が出るとたいていは買ってしまうのは、やはりギルマン作品がぼくは好きなのだろうな、とも思いました。
母親の経営する下宿の住人たちと思いがけず人形劇をやることになった高校を卒業したばかりの少女マーシーの成長物語。そうなんですけど、今回感情移入したのはもうひとりのフォリーの方でしたね。フォリーは上昇志向で金持ちとの結婚を夢見るモデルです。ある計画を持って、下宿にやってきます。当然、素朴なマーシーとはそりがあいません。フォリーのような生き方は疲れると思うのですがね。でも、自身を振り返ってみれば、やっぱり疲れる生き方をしていないとは言えないような気がするわけです。
ですから、このフォリーにもたらされる変化、これこそがぼくが無意識にギルマン作品に期待しているものではないのかな、と。まあそんなふうに思ったわけですよ。

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