【作家】夢枕獏

2011/04/24

『キマイラ 9 玄象変』 (夢枕獏) 感想

 物語は西域の回想より、やっと現代へ。本編としては8年、青龍変から4年あまり。もったいないから少しずつ読もうと思ったところで、あれよあれよと引き込まれ、気づけば最後のページなのだな。次は鬼骨変ということらしい。今度は何年待つことになるのか?ぼくとしては、岩さんのその後などが、とても気になっているのだが・・・・・・。

2010/05/30

『闇狩り師 キマイラ天龍変』 (夢枕獏・伊藤勢) 感想

ずっと以前から夢枕獏氏によって予告されていた、若き日の九十九乱蔵が巫炎と台湾で戦う話がこれである。原作が小説として書かれることは未来においてあるのだろうか?もし、書かれないのだとしても、ここにこうして、この物語がある。とても満足している。あのキマイラを、禍々しくそして美しさも兼ね備えるあの獣を、いったいどのように漫画に描こうというのかと思って不安半分に買ってきたのだが、これはいい。思わず何度も読み返してしまった。この2巻だけで完結なのが、惜しいくらいです。



2009/09/05

『闇狩り師 黄石公の犬』 (夢枕獏) 感想

『崑崙の王』が1988年だから、21年ぶりの九十九乱蔵ものである。読んでみて思うのは、やはり『闇狩り師』の妙味は短編の方なるのではないか、ということ。まあ年月を経ているということもあるし、読み手であるぼく自身が、あの頃の10代ではないということもあろう。だが、同時収録されているノヴェルズ未収録だった「媼」とか読むと、おおこれだこれだ、と思うのであるよ。ぜひ、短編をもっと読ませてほしい。それに、『SFアドベンチャー増刊 夢枕獏VS菊池秀行 ジョイントマガジン』に一場面だけ掲載されていた乱蔵ものがあったと思うのだ。あれの続きとかも読みたいなあ。まあ、ともあれ乱蔵の帰還はうれしい限り。新作も進行しているということなので、心して待ちたい。「黄石公の犬」が8年がかりの連載であることを思うと、不安もおぼえるのだが……。

2009/04/12

『陰陽師 太極ノ巻』 (夢枕獏) 感想

・「二百二十六匹の黄金虫」 冒頭に有名な法華経がおぼえられない話が出てくるので、ネタはあれだなということは容易に推察できる。だから、あのネタが陰陽師的にどのように処理されているのかというところに興味を持って読んでいたのだが、なるほどこうくるか。だからわざわざ「黄金虫」なんだなと思う。<ネタバレ>

ポーの「黄金虫」では"e"という文字をキーにしていたと思うが、おなじようにここでは"無"という字をキーにしているわけだ。なるほど経文であれば"無"という字が多く含まれる。これを足四本の虫としたところが
<ネタバレおわり>じつに陰陽師的で秀逸
・「棗坊主」 読んでいる最中に頭にあったのはリップ・バン・ウィンクルである。よく浦島太郎の引き合いに出されるようだけれど、それはちょっと違うのではないかとも思っている。リップが山中で出会った小人たちがしていたのは、たしか九柱戯というボーリングのようなゲームだった。この話では碁になっている。はて、仙人が碁を打っているところに出会う話も何かで読んだ気がするのだが、何だっただろう?時間というものがわかったような気にも、わからなくなったような気にもなる、そんなお話。
・「覚」 この話に<さとる>という題をつけてしまうのは、いささかストレートにすぎないか?晴明と博雅のかけあいはいつものごとく楽しいが、怪異としてはどうも……。あと、晴明が覚を退治するやりようも、なんだかストレートにすぎる。まあ、さとるといえばあの方法というのが有名なので、あえてこうしたのかもしれないが、どんな方法を使うのかと楽しみにしていたので、ちょっと肩透かしをくった気分だ。
・「針魔童子」 性空聖人といえば、ぼくの住んでいるあたりでは有名である(と思う)。西の比叡山とも言われる西国第二十七番札所、姫路の書写山円教寺を開いた人である。書写山といえば、ぼくにとっては何度も訪れたかなりなじみ深い場所。なんだか、こう不思議な気持ちのまま読み進んだ。あの山道が、そのまま古の京へと続いているような……。(2003/05)

2009/03/15

『キマイラ昇月変』 (夢枕獏) 感想

次巻よりはハードカヴァー先行発売とのこと。ここまでで出版されている<完全版>は文庫版2冊の分量のものだが、そのあたりはどうなるのだろう?今のペースでハードカヴァー出版分の量をとなると4年ほどかかるのではないか?それとも連載量が増える?
キマイラの本質にあと一歩と迫りながら、まだ西域での物語はおわりというわけではないようだ。もんもんとする気分である。だが、次は何と長らく予告のみがされていた『青龍変』に移るようである。どのように続くのだろう?『闇狩り師』の再読を併せてしないかなり話を忘れてしまっていると思う。ええと、すっかり読む気になっていたけど少なくても2年はあとの話か。ううむ。悩ましい。2年は生きていようと思つた(笑)。

『陰陽師 龍笛ノ巻』 (夢枕獏) 感想

五編。短編がこのように続いていくというのはじつにうれしいものだ。読むことを急ぐ気持ちと読み終わってしまうのを惜しむ気持ちが等しく自分の中にあるのがわかる。一編を読み終えては次にかかるかどうかをしばらくは考える。『生成り姫』のように長い話を読みたくないわけではないのだが、やはり晴明について語るにはこの長さ、この息が合っているのではないか?
●「怪蛇」 道満と晴明の関係がわかったような気にもなるし、ますますわからなくなった気にもなる。好敵手というのはそういうものか。
●「首」 加茂保憲はまことに喰えない男・・・・・・晴明とよい勝負。この後の話にもからんでくるか?
●「むしめづる姫」 白眉。出典は言わずとしれたあの話。だが、学校の古典の授業で聞くよりも趣深い。真に何かをめづるとはかくのごとし。
●「呼ぶ声の」 保憲の左肩に息づく式神は猫又。猫又といえばシャモンを思い出す・・・・・・。
●「飛仙」 仙人にもいろいろあるらしい。上は天仙地仙から下はこのようなものまで。生き方などというのは人それぞれでよいのだろう。

『鬼譚草紙』 (夢枕獏+天野喜孝) 感想

夢枕獏作、天野喜孝画によるエロティックな味わいのある平安絵巻。生々しい挿画多数にして、電車の中で読むにはかなり不適……。
「染殿の后鬼のためじょう乱せらるる物語」収録されている三編のうちでは、これがいちばん好みである。(「じょう」は「女」扁に「堯」)欲望のために鬼となりはてる真済聖人の悲しくも純粋なる恋の物語。ラストシーンの意外な美しさに、人であるということの意味を改めて考えてみるのも興深いものがある。
「紀長谷雄朱雀門にて女を争い鬼と双六をする話」昔語りにはよくある禁じられた約束もの。~するな、と言われると、人間はえてしてそれを破ってしまうもの。しかしながら、約束が成就していたら、この場合、長谷雄はどうなっていたのでしょうか?人たる身では入手しないほうがよいものもあるのかもしれない。
「篁物語」小野篁にまつわる奇妙な恋の物語。篁と高藤卿の関係は晴明と博雅のそれを彷彿とさせる。冥界に居を移した恋人を取り戻しに行く話は古今東西あまたあるものですが、さて篁の場合は如何?(2001.08.19)

2008/11/30

『腐りゆく天使』 (夢枕獏) 感想

教会の香部屋になぜか浮かんだ一体の天使……それは神父にしか見ることができない幻影なのか?なんだか凄惨なイメージの作品だなあ、と思って帯をながめておりました。しかも、登場人物にはあの荻原朔太郎がいるらしい。そして、冒頭の一文「この七年間もの間、わたしが考えつづけていたのは、いったい、誰がわたしをここに埋めたのかということだ」を目にしてぶっとんでしまった。これは「頭の中の湿った土」ではないか?
同じ物語なのか、そうではないのか?朔太郎、神父、腐っていく天使、そして頭の中の湿った土……。もはや頁を繰る手ももどかしいのである。ああ、何と病的で、何と美しくて、何と切ない物語なのでしょう?こんな物語があってよいのでしょうか?読んでいる最中にいったい何度胸苦しい思いにみまわれたかわかりません。はじめ、あまやかな腐臭をはなっていた天使がだんだんとほんとうの腐乱した何かに変化していく。それは、あたかも天上に属すると自らを欺いてきた愛情がじつは世俗のものにすぎないと見せつけられるようなものではありませんか?心はどこに向かいますか?そして肉体はどこに向かいますか?詩の中にあるのは、そして残るのは何ですか?(2000.11.20)

『黒塚』 (夢枕獏) 感想

不死者の物語というのには、多かれ少なかれ悲哀と淫靡の色が必須なのだと心のどこかで信じていた。『吸血鬼ドラキュラ』、『ポーの一族』、『夜明けのバンパイア』。質的な差さえあれ、それらはいずれも奇妙な美によって成り立つ物語である。
さて、それではこの『黒塚』はどうか?ぼくには何故かその不死者の物語に必須だと思っていた悲哀の色が薄いと感じられた。もちろん、永遠を生きる女との約束という通常の時間を超えるテーマがあることでこれもまた不死者の物語にはちがいないのだが……。そして、物語終焉近くで明かされる血の由来こそ、その悲哀のおおもとにはちがいないのだが……。それでも薄いと感じるのはこの物語の主人公であるクロウが迷ってはいないからであろう。疑問には思えど迷いはしないと言ったほうがよいか?約束こそがすべてだと信じる強さのもとでは、永遠に近い時の流れなど何するほどのものがないことなのか?人が手にするには、永遠とは長すぎる時間だと思うのだが……。アクション的要素の濃い後半よりも、あの「頭の中の湿った土」にも通じそうな二幕あたりがぼくとしては好みである。 (2000.10.15)

『陰陽師-鳳凰ノ巻』 (夢枕獏) 感想

今更説明も不要であろうシリーズ第4巻。いや、このあいだの『生成り姫』を入れると5巻目ということか。長編もよいのだが、やはりこの晴明のシリーズは短編がよい。舐めるように読ませていただいた。晴明いうところの「呪(しゅ)」というものは、つまるところ人の業にかかわることなのだな、と思う。いや、人である、ということがそもそも業であるにはちがいない。情けなく、つらく、また暗く燃える炎のような業である。しかしながら、人である我らがこの物語の中に、我もまた人である、すなわち業を背負う者である、ということを見出すことにこそあわれがあるのであろう。いや、柄にもなく小難しいことを書いてしまった。しかし、この短編集を読むとき、きっと他の方々もぼくが思うようなことを思いながら読んでおられるにちがいないと信じる。
ちなみにこの集のうちのもっとも気に入りは「月見草」の一編。壬生忠見の<恋すてふ>の件もそうだが、詩歌がテーマであれば、趣もまたいっそう深いものに感じられるのである。(2000.07.02)

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