【作家】池波正太郎

2009/03/15

『江戸の暗黒街』 (池波正太郎) 感想

『仕掛人・藤枝梅安』に先行する江戸の闇の住人たちを描いた短編集。この中ではまだ仕掛人という語は見えないものの、羽沢の嘉兵衛などなじみの名前もちらほら。殺しを見られてはならぬ掟を見た側より描く「おみよは見た」、香具師の元締めの跡目あらそいをテーマにしためずらしい作品「女毒」、そして対をなすように男という魔に魅入られた女を描く「男の毒」など。梅安のような善悪一如となった不可思議な深みはないけれど、わりと楽しむことができました。(2001.11.24)

2008/11/30

『鬼平犯科帳(一)』 (池波正太郎) 感想

池波正太郎の三大シリーズ、今まで『仕掛人藤枝梅安』『剣客商売』と読んできて、いよいよこれにかかるわけだ。ちょっと視点がぼくに向かないのかなあ、とも思っていていちばん最後になってしまったのだな。今度は裁く側に重点がおかれているし、妙に人情物になっていてもいやだなあという……。しかし、そういうものではないことは、一話読んだだけですぐに判る。うーむ、なんて辛口でハードなんだろう。ある意味容赦のないストーリー展開ですよね。どうも、この長谷川平蔵という人、一冊読んだだけでは性格もよくわからんというか、深すぎる人物ですね。またひとつ楽しみがふえました。(2000.05.06)

2008/11/16

『ないしょないしょ 剣客商売番外編』 (池波正太郎) 感想

「このことはないしょ、ないしょ」だぞ。仕えていた剣客が殺され、それを機に江戸に出てきたお福は、次に仕えた御家人から偶然にも手裏剣の手ほどきを受けることになったのだが、そのときにこう言われるのであった。
運命に翻弄される女性の半生を描いた、読み応えのある長編。人というのは長くかかわってみないと判らない生き物なのだな、ということを感じずにはいられない物語。その最期の時に「今度こそは、迷惑をかけずにすみます」の<迷惑>の意味の深さを考えこんでしまう。はたして、秋山小兵衛はじめ、お福にかかわった人々が、それを迷惑だなどとちらりとでも考えただろうか?(1999/12/19)

『剣客商売16 浮沈』(池波正太郎) 感想

シリーズ最終巻。読了して何とも奇妙な思いに囚われた。とりわけ後半部だが、妙に駆け足なような感じがするのだ。これは、ほんとうはもっと長い話になるはずだったのだろうか?さらに奇妙なことには、大治郎の登場はほとんどなく、また三冬もそうである。この最終巻はだから基本的に小兵衛だけの物語なのだ。さまざまの登場人物たちの定命についての記述が散見され、田沼意次の政治的命運についてが暗示される。そしてラストの数ページでは何とも唐突にそれまでの物語から7年の月日が流れ去ったことが明かされ、その日の小兵衛が描かれる。その「躰も一まわり、小さくなっていた」という描写に、ぼくは、いいようのない寂しさを感じてしまうのだ。この『浮沈』を書きおえて作者は世を去ったと解説にある。(1999/12/19)

『剣客商売15 二十番斬り』(池波正太郎) 感想

小兵衛が妙に気弱なのが前巻気になったのだけれど、ついには体調に変化が……。しかしながら、ごくふつうの人間に比べるとまだまだその超人ぶりは健在のようです。なにしろ二十番斬りですからね。12巻の表題が「十番斬り」でしたが、あの時に十人を倒したのと比べてみると、単に量的な変化ではないことが明かですね。剣というもので到達しえた境地、それは小兵衛の剣が質的にも変化していることを示しているのですね。最終巻がはたしてどういう収束を見せるのか、とても気になります。(1999/12/12)

『剣客商売14 暗殺者』(池波正太郎) 感想

この長編の冒頭から登場する波川周蔵という剣客は、仕掛人ということでしょうね。この仕掛けがどういう方向にいくかというのが物語の主軸ではあるのですが、友人を失った小兵衛が妙に気弱になっているのも、このシリーズとしてはめずらしいことで興味をひかれます。表題の「暗殺者」はもちろん波川のことであり、どうやらその標的は大治郎らしいのですが、いったい何のために?というところが眼目です。波川が自分をとりまくいくつもの事情にだんだんにがんじがらめになっていくところが、なんとも哀しい物語でした。(1999/12/12)

『剣客商売13 波紋』 (池波正太郎) 感想

「消えた女」というのは、どこから?と考えるとなかなか趣深い題名ですね。小兵衛の昔日というのはシリーズ中の随所に語られるわけですが、これもまた格別。表題作「波紋」も味わい深い一編だが、これなどは長編にしようと思えばできるのではいないかというほどの様々な過去の因縁がちりばめられている。結末のたった数行でその因縁の結末が見事につけられており、余韻もひとしおです。
このシリーズも本編はあと3冊にて完結だと思うと、読むのがいかにも惜しい気がします。この巻も一編一編なめるように楽しみました。(1999/11/21)

『剣客商売12 十番斬り』(池波正太郎) 感想

これはほんとうに止まらなくなったか?大治郎の生母であるお貞の弟の福原理兵衛を登場させた「密通浪人」、なるほど小兵衛とおはるがいっしょになるにはこうしたことも生じていたのだな、と面白く思った。理兵衛の態度の変化をこういうおちにもってくるのも池波作品らしいところだ。「同門の酒」も面白く読んでいたら、やはり結末において語られる人生の奇妙な因縁。このシリーズはこういう作品が多いので一短編を読了するごとに考え込んでしまいますね。「辻斬り」の後日談である「罪ほろぼし」というのもそういう意味では人間関係の奇妙を描く味わい深い作品、その結末にもほっといたしました。(1999/11/11)

『剣客商売11 勝負』 (池波正太郎) 感想

というわけで、続いて購入した短編集。このシリーズの解説は常盤新平氏ときまっているようだが、各巻で何度も繰り返し、一冊だけ読むというわけにはいかず続けて何冊も読み返してしまうという意味のことを書いておられる。読み返す時ですらそうなのだから、初読にあたっては続きが気になってたまらない。
勝たねば剣術指南役に就けない男との勝負に「負けてやれ」と小兵衛に言われ、悩む大治郎を描く好編の表題作。三冬と大治郎のあいだに子供も誕生し、たいへんに味わい深く贅沢な一編になっている。また、三冬が道場時代に知り合った弟弟子との邂逅を描いた「その日の三冬」がなんともいえずすばらしい。他に、人生の奇妙ななりゆきを背景にした「小判二十両」も考えさせられる一編である。(1999/11/11)

『剣客商売10 春の嵐』 (池波正太郎) 感想

シリーズ初の長編。大治郎の名を名乗る辻斬りがあらわれ、幕閣で対立する田沼意次と松平定信の家臣を次々に刃にかける。小兵衛は探索をはじめるが……。
小兵衛も大治郎も市井に生きる人間であるから、シリーズのこれまではあまり政治そのものには深入りせずに描かれていたと思う。意次の政治に対する姿勢ということでそれが示されることはあっても、むしろその周辺を描いてきたのではないだろうか?もちろん、そうして体制から外れている人々を描くことで物語には深みが増していたわけである。この巻は長編ということもあって、今までに比べるとやはり仕掛けが大きくできている。それが楽しくもあるし、やはり短編でもっと読みたいとも思った。 (1999/11/11)

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