『夜の蝉』(北村薫)感想
「空飛ぶ馬」が面白かったので、続けて買ってきた「円紫さんと私」シリーズの第2弾である。期待は裏切られずこれも絶品。第2集の特徴は、主人公自身の私生活にかかわるような物語が前面によりはっきり出てきていることだろう。第1話「朧夜の底」では友人の正ちゃんとの関わりが、第2話「六月の花嫁」ではもうひとりの友人江美ちゃんとの関わりが描かれる。そして、これらは第3話「夜の蝉」で描かれる主人公と姉との微妙な関係を語る上での物語的伏線になってくるわけである。より、主人公の内面へ。そして、二十歳の主人公が「女の子」ではなく「大人の女性」の顔を垣間見せるほんの瞬間。それは宝石のような瞬間であるとぼくは思う。(1997.4.5)
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