『いざ言問はん都鳥』 (澤木喬) 感想
植物をテーマにしたミステリ、4編の連作短編集でタイトルにはすべて和歌があしらってある。主人公は大学の植物学科で助手を勤めていて、専門は分類学、ヴァイオリンを趣味としてアマチュアのオケに所属しているという設定。テーマになっている植物は何も特別なものではなく、日常でぼくたちも目にしているにちがいないものが多い。一読しての印象はなんだか茫洋とした小説だなあということである。この茫洋としたところが気持ちよい。ただ、日常において何かしら異常な事件が起きてそれを解決していく過程に、何となく納得いかないところもある。ほんとうにそういうことになるのかな?と疑問に思ってしまうのだ。飛躍しすぎる部分があって、しばしばついていけなくなりもした。理系大学の生活風景スケッチとして読んで良。浮世離れしている感はあるけれど、不思議に気持ちよいのです。(1997/6/8)
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