『背筋が冷たくなる話』 (谷甲州) 感想
という作品集名なのかと思ったら、これはれっきとした短編の題名。山岳小説で有名な著者のことであるから、山の怪談が主体かと思ったのだが、それはこの表題作のみ。山の怪談で何が怖いといって、それがいかにもありそうだから怖いのである。山というものじたいが、もはや日常と切り離された空間であるからだろう。
表題作の他では、鏡の中の世界をテーマにした「鏡像」というのが怖い。思えばこれも日常の隣にある非日常空間であるかもしれない。なるほど、ぼくがこの作品集で怖いと思ったのはすべてそれか?もうひとつは「制裁」という電話をテーマにしたものである。日常空間の隣あるいは裏にはすべからくこのような異質な空間が横たわっているのである。(2000.06.25)
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