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2008年11月30日 (日)

『陰陽師-鳳凰ノ巻』 (夢枕獏) 感想

今更説明も不要であろうシリーズ第4巻。いや、このあいだの『生成り姫』を入れると5巻目ということか。長編もよいのだが、やはりこの晴明のシリーズは短編がよい。舐めるように読ませていただいた。晴明いうところの「呪(しゅ)」というものは、つまるところ人の業にかかわることなのだな、と思う。いや、人である、ということがそもそも業であるにはちがいない。情けなく、つらく、また暗く燃える炎のような業である。しかしながら、人である我らがこの物語の中に、我もまた人である、すなわち業を背負う者である、ということを見出すことにこそあわれがあるのであろう。いや、柄にもなく小難しいことを書いてしまった。しかし、この短編集を読むとき、きっと他の方々もぼくが思うようなことを思いながら読んでおられるにちがいないと信じる。
ちなみにこの集のうちのもっとも気に入りは「月見草」の一編。壬生忠見の<恋すてふ>の件もそうだが、詩歌がテーマであれば、趣もまたいっそう深いものに感じられるのである。(2000.07.02)

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