『パプリカ』(筒井康隆)感想

いささか身構えて読みはじめたのだけれど。というのはもちろん筒井康隆が精神分析をテーマにしているからに他ならない。「夢の木坂分岐点」を読んだ時よりも数段緊張しなければならないか、と思っていたのである。ところが、読みはじめるとかなりエンターテイメント性が高いというか、少なくても実験的手法を用いたものではないようなので安心した。かなりの専門用語が使用されているけれど、判りにくいということはまったくない。それよりもPT機器という道具を用いての精神分析がきわめて興味深く描かれている。「美貌のサイコセラピストは男たちの夢にダイヴする<夢探偵>」というのが帯の惹句。はて、ダイヴするなんていう表現、作品中に出てきたかな?まあ、それはともかくパプリカというのは夢探偵を行うときの主人公のコードネームなわけです。カバー絵のポール・デルヴォーがとても洒落ていて、しかも象徴的に見えるのですよ。物語はやがて新型のサイコセラピー機器を巡る争奪戦になっていくんだけれど、これがもう「表の行列なんじゃいな」状態できわめてシュール。極彩色の夢の世界へどうぞ。(1997.5.5)

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