『お父さんの会社』(草上 仁) 感想

世の中にコンピュータ・ネットワークを素材にした小説は数多くあるのですが、その中でもイチ押しです。草上仁というと短編作家というイメージがあったのですが、この長編でぼくの思い込みを嬉しい形で裏切ってくれました。この小説の主人公たちは、大規模商用ネットを利用したリアルタイム・オンライン・ゲームをやってるんですが、それが「新入社員としてスタートし、幾多の苦難を乗り越えて、出世の階段を昇っていく」という内容のRPGで、その名も「カイシャ・クエスト」。いや、このゲーム描写のすばらしいこと。本当にこれが発売できたら、まじに流行るんではないか、と一瞬思ってしまう。で、ストーリーは、主人公がゲーム内で出世のためにつくった資料が現実世界で自分がタッチしないところで盗用されていることに疑問を持って、というもの。1993年の出版なので多少書店で見つけるのは難しいかもしれないけれど、ネットワーカーは必読の書。(1996.12.31)

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